ZEALS接客AIエージェントによる「おもてなし革命」が世界の顧客体験を変える
2025/07/16
そうした状況下で、日本が培ってきた「おもてなし文化」を武器に、接客AIエージェントを開発・提供するのがZEALS (ジールス)だ。2025年3月18日から20日まで開催された、 国内外の直販・通販事業に携わるトップマーケターが集結 するカンファレンス「ダイレクトアジェンダ2025」では、ZEALS 執行役員の渡邊大介氏が登壇。
接客AIエージェントによるコンバージョン向上事例や接客 コスト削減の実績を紹介。また、AI時代の人間スタッフとの 最適な役割分担を解説し、マーケティングAI化のロードマップと、「ZEALS AI Agent」が切り拓く顧客体験を革新する可能性について熱く語ったセッションをレポートする。
「おもてなし革命」を掲げ、接客AIエージェントを提供
2014年創業のZEALSは、「『日本と世界をぶち上げる』というビジョンを掲げ、おもてなし革命というフレーズを大切にしている」と渡邊氏は話す。同社は、接客AIエージェントを通じて、おもてなしをデジタル化することで、世界市場でも競争力を持てると確信している。最終的には「ドラえもん」のような人間のパートナーとなるAIエージェントの開発を目指しているという。渡邊氏はAIエージェントを「特定の目標や目的を達成するために、AI自身が自律的にタスクや指示を生成して実行するAI」と定義する。「Copilot(コパイロット)」などのAIアシスタントよりも、自律性が高まったAIだと説明した。

渡邊 大介 氏
2006年に株式会社サイバーエージェントに新卒入社。コカコーラやGoogleなど大手企業のマーケティング活動支援を経て、同社のマーケティング部門の立ち上げに従事。その後複数の新規事業、採用・育成責任者などのキャリアを経て、2017年からはリクルートとの合弁会社ヒューマンキャピタルテクノロジー社を設立し取締役に就任。2020年11月より現職。
「2024年末から2025年初めにかけて、AIエージェントはバズワード化し、グローバルで大きなトレンドとなりました。わずかな期間でカテゴリーもプレイヤーも大幅に増え、まさに『AIエージェント元年』を実感しています」(渡邊氏)
AIエージェントは日本でも急速に普及し、その浸透度合いは欧米と大差なく、市場がすでに生まれ始めているという。また、機能やカテゴリー特化型のAIエージェントから普及が始まると予測し、大規模な導入よりも何かの機能に特化して、結果を出しながら徐々に活用領域を拡大していくのがおすすめだと紹介した。
ZEALSでは、接客や顧客体験に特化した接客AIエージェントである「ZEALS AI Agent」を提供している。具体的には、企業のブランドやサービスを代表するAIエージェントを構築し、エンドユーザーと直接対話する仕組みとして2024年12月末にリリースした。
「ZEALS AI Agent」は大規模言語モデル(LLM)を制御する機能群と自動発話、会話記憶、商品提案などのAI接客に必要な機能を組み合わせている。さまざまなデジタルチャネルで、エンドユ ーザーにAIによる接客を提供する狙いだ。
プレゼンテーションで渡邊氏が実施したデモでは、ファッションEC向けのシナリオが紹介され、ユーザーの「アウターが欲しい」という単純な要望に対して、用途や普段着ている洋服など、顧客のインサイトを深掘りするヒアリングを自然に行い、最適な提案につなげる姿が披露された。
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ユーザーとの会話数が10倍に増加、コンバージョンも向上
ZEALS AI Agentは当初、ECやD2C領域を強化する企業の導入が進むと予想していたが、リリース後は比較検討商材である金融や人材、不動産といった業界から問い合わせがあった。その結果、スピーディーに導入が進み、リリースから2~3ヵ月で導入社数が数十社にのぼったという。
「お客さまとAIエージェントの会話データが大量に蓄積されるので、AI接客エンジン自体も磨き込みがかけられています。こうして磨き上げられた顧客体験を、あらゆる顧客チャネルに搭載していきたい。そして、新規顧客の獲得やLTV(顧客生涯価値)の最大化につなげ、接客領域において『これひとつで十分』というような AIエージェントをつくっていきたいと考えています」(渡邊氏)
渡邊氏が説明する、具体的なZEALS AI Agentの活用シーンは、以下の通りだ。
ZEALSへのお問い合わせは、こちらからコスメのD2C販売を例にすると、購買前の顧客からは「ニキビにも効くのか」「肌荒れでも大丈夫か」といった機能に関する質問が多く、購買に近づくにつれ、値段や送料、発送期間などが関心事となる。こうした顧客のインサイトをマーケターが把握しきれていないことも多く、顧客から質問が寄せられても、WebチャットやLINEチャットでは適切な対応ができていない場合が多い。
そこで、マーケティングファネルにおける、興味から購買、そして購買後のアクションにいたるまでの各フェーズにおける課題に対して、AIエージェントがそれぞれのタイミングに応じた最適な対応を行うことで、課題解決を図るという考えだ。
渡邊氏が紹介した化粧品メーカーの事例では、サービス導入後しばらくすると接客AIエージェントの回答スピードが2~3秒にまで向上したほか、薬機法などのガイドラインを満たすような返答も実現している。さらに、単なる質疑応答にとどまらず、「それなら、こちらの商品がおすすめです」といった回答など、顧客の関心 や会話の文脈を捉えた提案が可能となり、自然な流れで商品提案につなげることができているという。
また、英会話スクールの導入事例では、AIエージェント導入後、 エンドユーザーとの会話数が約10倍に増加。さらに、LINE経由でのコンバージョン数は導入から約2カ月の2025年1月時点で10.5%増加し、3月時点では15%を超える効果が出ているという。
「これまで見過ごされがちだったエンドユーザーからの疑問や質問を、AIエージェントがきちんと対応するだけでも、コンバージョンが上がることが分かりました。さらに会話データを蓄積して、私たちと顧客企業が一緒にAI接客を磨くことで、パラメータを着実に上げることができ、長期的な資産になっていくと考えています」(渡邊氏)
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