リテールアジェンダ2025レポート #04
平和堂とパルが語る、データ・AI活用が導く「勝てるリテールビジネス」とは【リテールアジェンダ2025レポート】
「顧客を知る」ことで提案最適化と事業創出
宮領 私はクレジット、ネット銀行など金融系で金融商品の開発、提携などを18年、食品メーカーでDXやITを8年経験しました。現在の小売業は入ってまだ3年半なので見習い中ですが、本日は3つの業界の視点からリテールにおけるAI活用の可能性をお話したいと思います。
平和堂は1957年に滋賀県彦根市で創業した総合スーパーで、関西を中心に165店舗を展開しています。一般にDXは経営企画や情報システム部のもとで、「とりあえずツールを入れて終わり」というケースが多いように思います。そこで平和堂ではライフスタイル総合(創造)企業として、いかにお客さまのライフスタイルをデータ起点で捉え、新たなビジネスモデル、収益基盤を確立するかという観点から、2022年に営業本部の傘下にクロステック企画部が新設されました。高度な顧客分析を担うデータサイエンティストや新規事業開発を含め、全員新卒からの店舗経験者で構成しています。
平和堂 クロステック企画部 部長
宮領 康博 氏
ジェーシービーにて、国内初のミニマムペイメントカード(リボ払い)やデジタルマーケティングなど革新的なビジネスを確立。SBIグループにて、クレジットカード会社、クレジットプロセッシング会社の設立、住信SBIネット銀行において大型提携やM&Aを手掛ける。江崎グリコ株式会社では、システム子会社代表として、国内外のプラットフォーマーとAI等デジタルによるビジネス活用、国内外スタートアップとの協業等を実践する。
平和堂にて、デジタルによる既存の営業変革を目的にクロステック企画部を新設。顧客の決済データとデジタルにより消費購買傾向を捉え、ライフスタイル創造提案を目的に、クレジットカード事業やアプリのリニューアル、顧客のインサイトを捉えるリテールメディアなど新たなビジネスモデル立ち上げに挑戦している。
宮領 康博 氏
ジェーシービーにて、国内初のミニマムペイメントカード(リボ払い)やデジタルマーケティングなど革新的なビジネスを確立。SBIグループにて、クレジットカード会社、クレジットプロセッシング会社の設立、住信SBIネット銀行において大型提携やM&Aを手掛ける。江崎グリコ株式会社では、システム子会社代表として、国内外のプラットフォーマーとAI等デジタルによるビジネス活用、国内外スタートアップとの協業等を実践する。
平和堂にて、デジタルによる既存の営業変革を目的にクロステック企画部を新設。顧客の決済データとデジタルにより消費購買傾向を捉え、ライフスタイル創造提案を目的に、クレジットカード事業やアプリのリニューアル、顧客のインサイトを捉えるリテールメディアなど新たなビジネスモデル立ち上げに挑戦している。
平和堂には、約420万人の会員がいる「HOPカード」があり、店頭でのお客さまのカード提示率は80%超に達しています。また、ハウスマネーの売上比は約5割、これらを含むキャッシュレス決済比率は約6割超です。これらのことからID-POSデータは高い比率で獲得できていたのですが、当然ながら自店舗内のデータしか取れないのが課題でした。今後、One to Oneマーケティングが主流となる中で、自店舗に限らない顧客の購買嗜好を捉える手段として参考にしたのが、航空会社のマイレージプログラムです。航空会社が銀行と組んでクレジットカードを発行し、カード利用金額1ドルに対し1マイルを提供し、マイルを貯めることにより無料航空券と交換できます。航空会社は顧客とのロイヤルティを高めるだけでなく、航空利用以外での購買行動データの取得を可能にしました。
そこで決済データに着目し、まず取り組んだのが「HOPカード」にクレジットカード機能を付けた「HOP-VISAカード」のリニューアルです。自店でも他店でも同じ1%という高いポイント還元率にしたことでメイン化が進み、入会者数は前年比190%増加、外部利用金額は前年比120%増加、即ち外部利用データの取得も前年比120%増加となりました。
その際、VoC(顧客の声)データの収集にも着目し、消費者の行動前の調査(ASK)のプロセスにおいて、比較的カジュアルな質問にこそインサイトが宿ると考え、顧客向けFAQにHelpfeel社の意図予測AIを用いたSaaSを導入し、お問合せのログから電話と比較して21倍のVoCを獲得しました。これを反映したLPO(ランディングページ最適化)によって、HOP-VISAカードのCPA(顧客獲得コスト)は40%減少、一般的にクレジットカードのCPA相場は約1万円と言われていますが、約2千円で獲得できるまで効率化できたのです。
顧客ごとのIDに、社内のPOS、外部の決済データ、アプリを通して得られるオンライン、オフラインのデジタル行動データなどさまざまな消費購買行動データを紐づけ、データサイエンスによる解析とAIによる自動化によって、顧客一人ひとりのライフスタイルを把握できるようになりました。これに沿って商品・サービスをどのように提案していくかがOne to Oneマーケティングの要となります。さらに、当社では顧客に対して直接アンケートをお願いし、食品系商品の購買データをかけあわせ、3セグメント、29パターンに顧客の購買嗜好を分類し、家族構成や食の価値観、健康課題などによって最適な商品を提案するようにしています。

さらに、顧客の消費購買行動データを活用し、リテールメディア事業を立ち上げました。一般的に、リテールメディアと言うと米国ウォルマート社の事例が著名ですが、当社では顧客との密な関係性を生かした平和堂らしいビジネスモデルを考えました。
メーカーさまからの依頼に基づき、ブランド購入者の購買データをもとにデータサイエンティストが細かく分析。ペルソナの特徴、購買嗜好の傾向を抽出し、メーカーさまと協議した施策を対象顧客にクローズドでご提案。施策の反応や、その後の購買継続の動向、ブランドスイッチに至った製品のご評価や効果実感などを、アンケートを通じて可視化し、還元します。決済データから実際に購買された顧客の声をメーカーさまにワンストップで直接お届けする「インサイトリサーチ」という形で事業化し、多くのメーカーさまから支持をいただいています。
群司 宮領さんは江崎グリコから小売に転職されました。メーカーと小売で、データとの向き合い方について違いを感じられることはありますか?
宮領 メーカーさまにとって、お客さまが普段の生活の中で自社の商品をなぜ選び、お使いになっているか、そのインサイトは喉から手が出るほど欲しいと思います。たとえば、お客さまの購買履歴や外部利用データとデータサイエンスから、おおよその健康課題を推測できることは、メーカーさまにとって非常に価値ある情報だと思います。
群司 そうですね。よくリテールアジェンダでは「メーカーと小売の関係」がテーマとなります。メーカーだけだと、特定商品や分野には詳しくなれても、周辺情報の把握がどうしても難しいです。そこを小売とうまくデータ連携することができればいいと思っています。




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