「インテージフォーラム 2018」レポート #01

ローソン、資生堂、サイバーエージェントの脱デモグラフィックへの挑戦【インテージフォーラム2018 レポート】

店頭のデジタルシフト化への理解が円滑な商談にも影響

 メーカーと小売・流通の商談にも話が及ぶ。小出氏は、次のような見解を示した。

 「この10年でデジタルシフトが進んでいるが、小売・流通との交渉は、まだテレビが中心。そこで今年1月から、テレビのGRPとデジタル広告費もあわせて、一緒に換算して商談することを推進してきた。テレビとデジタルを組み合わせることで商品の訴求に力を入れていることを伝えていきたい 」

 こうしたメーカーの考えに対して、ローソン・小林氏は、「先ほど紹介した9つのセグメントはツールを通してメーカーに開示している。また、メーカーが知りたいのは生活全般のデータ。そこでインテージ社のSCIをはじめとした外部データとも連携し、その中でローソンの情報も分析可能にしている。販促活動での活用を進めていくことで、限られた広告費の中での成果を高めることができるのではないか」と話した。

 これを受けて小出氏も、「効率化は常に求められている。ブランドごとに展開するとき、小売・流通もそれぞれに設定したターゲットに合わせて一貫して取り組んでいただけるのは嬉しい。メーカーのセグメントとのズレは、すり合わせながら調整していける」と考えを述べた。
 

売り上げにコミットできるような次世代マーケティングとは

 続いて、サイバーエージェントの羽片氏が登場。同社は、インテージ社と一緒に分析サービス「生活者360°Viewer」を用い、ターゲットに応じたクリエイティブのテストを行った。某メーカーのプロダクトに関して、ローソンの「ご褒美女子」、「脱メタボワーカー」の2セグメントにむけたパターンと一般的な性・年代別に向けたパターンのクリエイティブを制作し、インテージのDSPを活用して配信した。
 
サイバーエージェント インターネット広告事業本部 次世代ブランド戦略室 統括

羽片 一人 氏

 羽片氏によると、「『ご褒美女子』に当てた場合、CTRはそこまで大きな差は出なかったが、『脱メタボワーカー』に当てた場合、デモグラフィックに30~40代男性に当てた場合と比べてCTRが1.5倍ほど高くなった。また、『ご褒美女子』に対して、『頑張っている私にご褒美タイム』というクリエイティブで配信したところCTRが改善した。ここから、オーディエンスとクリエイティブの掛け合わせが重要になることが見えてきた」と語った。

 続いて、「これまでの広告クリエイティブは、マスメディア向けに制作したものを流用する形だったが、9セグメントそれぞれにクリエイティブが必要になる。その運用がこれから重要になる」と語った。

 セッションの最後、インテージの村上氏より「データが爆発的に増えている現在、データを定義づけ、名前を付けて整理しないとインフォメーション(情報)にならない。ここは、みなさんと一緒にデータをつなげて、その上で事業やブランド戦略の文脈にあったインサイトを発見していけるかどうかか大事になる。新しい価値を共創していきたい」と話し、セッションを閉じた。
 
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