ダイレクトアジェンダ特別企画 #07

マーケターは「社員と会社、お客さまの利益」を一致させるKPIを設定すべし【中川政七商店 緒方恵、ディノス・セシール 石川森生、DoCLASSE 藤原尚也 座談会】

マーケターの仕事の醍醐味は、どこにある?

緒方 KPIを再設定することの重要性について、同感です。最近、ちょうど似たような話をしたことがありました。中川政七商店の各店舗は、その店舗の売上で評価されます。例えば購入検討中の商品があったとして、お客さまの立場からすれば「また来てくださいね」と言われるより、あとでECで買えるほうが嬉しいはず。ですから、本当は店舗スタッフからお客さまにECを案内するのがベストですが、店舗にとっては「見込み客を取り逃がす」ことになってしまうので、実行されません。
緒方 恵 中川政七商店 取締役 コミュニケーション本部 本部長 東急ハンズにてバイヤー、ビジュアルマーチャンダイザーを経てWEBチームに異動。 ECサイト運用から始まり、デジタルマーケティング・ソーシャルメディア立ち上げ・新規デジタル施策開発などを横断的に担当する何でも屋として、さまざまなWEB/デジタル施策の開発及び運用を担当。 2016年5月末に東急ハンズを退職し、同年8月から中川政七商店にWEB/デジタル領域全てを担当するCDO(Chief Digital Officer)として入社。 2018年3月より取締役 兼 コミュニケーション本部 本部長としてWEB/デジタル領域に加えて店舗・卸事業も担当。

 でもそれは、中川政七商店の「接心好感」という考え方にはそぐわないんです。それなら、店舗の売上ではない評価基準をつくればいいですよね。例えば、店舗とECの売上をグロスで見るようにしてはどうか。部分最適のKPIや組織体制は、企業・ブランドの価値提供を阻害する大きな要因になります。

石川 自社のアセットを整理し、強みや特長を認識したうえで、「デジタルはこう使う」「リアルはこう使う」という大局的なものの見方をすることも大切ですよね。「ECはこうつくるべし」「アプリのプッシュ通知はこう打つべし」のような小手先のテクニックばかりを吸収するのは、皆さん、さすがにもう飽きているのでは(笑)。

 サプライチェーンや顧客接点を一度すべてフラットにつなげて、いまの時代に合ったマーケティング戦略を再構築することこそ、マーケターの仕事の醍醐味ではないでしょうか。

 
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