B2Bアジェンダ2025 #12

そのデータドリブン、実は「偽物」です ー BI増えてもCX下がる不都合な真実【後編】

前回の記事:
あなたは「経営から見える景色」を理解できていますか?【後編】経営目線のマーケティングとは何かを考えよう
 2025年10月16日・17日の2日間、国内最大級のB2B特化型マーケティングカンファレンス「B2Bアジェンダ2025」が静岡・沼津で開催された。

 掲げたテーマは「マーケティング組織の『事業貢献』を再定義し、必要な基盤を整備しよう」。BtoBマーケティング組織に“事業成長の中核”としての役割を求める機運が高まる中、 マーケティング組織ができる/すべき「事業貢献」にはどのようなものがあるか? 事業貢献できる組織へとアップデートするために整備する必要がある「基盤」にはどのようなものがあるか?を改めて考える必要に迫られている。

 本企画では、BtoBマーケターがこれらを検討するための“補助線”として、B2Bアジェンダのカウンシルメンバーがそれぞれの視点から問題提起を行う。今回の執筆者は、NTTドコモビジネスにおいて、3,500名の大手法人営業部隊のセールス・マーケティング戦略や、顧客企業のデータドリブンセールス・マーケティング領域の推進支援に携わってきた徳田泰幸氏。前編に続いて後編では、「CX」「RevOps」「データドリブン」といったキーワードで語られる、顧客視点のマーケティングを企業活動に実装するためのヒントを提示する。
 

RevOpsを推進し、顧客体験全体の質と評価を高めよう


 前回は、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、開発といった各組織のKPIがすべて達成されているにも関わらず、顧客からのCX評価が低い状態に陥っている企業が珍しくないこと。そして、その状況を打開する鍵となるのが、RevOps(レベニューオペレーション)の考え方であることを説明しました。

 RevOpsとは、マーケティング・セールス・カスタマーサクセスといった部門を横断し、収益最大化のためにプロセスとデータを接続する、つまり真のデータドリブンを実現するためのアプローチです。

 今回は、多くの企業でみられる「偽データドリブン」の状態を打開し、RevOpsを推進していくための具体的な方策、そしていくつかのポイントをお伝えしていきます。

<執筆者>
 
徳田 泰幸
NTTドコモビジネス株式会社
ビジネスソリューション本部 事業推進部 グロースマーケティング推進室長

 法人営業を15年経験後、新規開拓営業組織の事業戦略担当を経て、2019年にイネーブルメント機能として社内組織であるData.Camp®を立ち上げる。2020年から3,500名の大手法人営業部隊のセールス・マーケティング戦略を担当し、2024年7月からはお客様のデータドリブンセールス・マーケティング領域の推進に対するご支援・コンサルティング業務に従事。国内企業全体のイネーブルメントの発展と底上げを目指し、関連イベントにおいても多数講演。著書:『セールス・イネーブルメントの教科書』(イーストプレス)
 

CXを軸としたKPIツリーによる活動データの接続


 まず、CX向上を本気で目指すのであれば、CXを中心に据えたKPIツリーの設計が不可欠です。

 下図では「CX=売上」と仮設定し、顧客ロイヤリティ(NPS)、満足度、各種施策KPIをバリューチェーン全体で接続する考え方が示されています。
     


重要なのは、
  • 売上や利益といったKGI
  • NPSや満足度といったCX指標
  • 認知、検討、購買、利用、アフターフォローといった各フェーズの活動KPI

 これらを組織横断でひとつのツリーとして可視化することです。どこか一部門だけがKPIを達成しても、CXや売上が上がらない理由が、構造として理解できるようになります。

 これはまた並行して、「Revenueを最大化させていくための企業オペレーション」そのものになります。
 

公転のモニタリング


 バリューチェーン全体の活動やKPI達成状況を、ワンビューで可視化することも有効です。

 たとえば顧客起点でのエンゲージメントを軸にして、企業全体の活動をモニタリングしていく分析手法はどうでしょうか?これは、顧客のエンゲージメントを多面的にスコアリングし、顧客接点における活動と、売上や顧客評価(VOC)との相関を分析する仕組みです。
    
著者作成

 前年度のVOC結果からCXに課題のある顧客を抽出し、注力アクションを定義。スコアの低かった各バリューチェーン上での問題点の軌道修正状況を四半期ごとにモニタリングし、翌年度のVOCや売上増減との相関関係を検証する。

これにより、
  • 不足している活動の特定
  • 特定テーマで満足度が低い顧客の抽出
  • アクションが実際にCX向上につながったかの検証
が可能になります。

 プロセスを可視化することで、CX向上が属人的な取り組みから、再現性のある企業ノウハウへと昇華されるのです。

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