B2Bアジェンダ2025 #12

そのデータドリブン、実は「偽物」です ー BI増えてもCX下がる不都合な真実【後編】

 

CX向上における「理想」と「現実」のギャップ


 現在の企業の多くは、CX向上に取り組む際に理想と現実のギャップに直面しています。その原因として、自転もしくは公転、あるいは両方のPDCAがうまく回っておらず、「偽データドリブン」に終始してしまっていることが多いと感じます。
 
  • 顧客の声を解像度高く把握できていない
  • CX向上に資する行動がモニタリングできていない
  • アクションプランが抽象的で属人的
  • アクションとCXの相関分析ができていない
  • 結果として、一過性の運動論に終わる

 これらはすべて、プロセスとしての設計不足に起因しています。トップメッセージやスローガンだけでは、CX向上は定着しません。VOCなどの評価を見て、反省はするもののアクションが定着せず、また次の評価でも同じ評価となり反省して・・・といった具合に、毎回同じサイクルに陥ってはいないでしょうか?
 

理想のCX向上を定着させる4つのステップ


 では、CX向上を定着させるための実践的な4ステップを少しご紹介します。
    
著者作成

1.顧客ジャーニーにおけるGAPポイントの抽出
過去の顧客評価やハイパフォーマーへのインタビューから、満足度を下げている要因を特定する(理想とのGAPポイントはどこか)。

2.注力すべき行動領域の明確化とVOC-KPI設定
GAPポイントの高い領域について、あるべき姿を定義し、VOCに紐づくKPIを設定する。

3. 具体的なアクションの定義とモニタリング
KPI達成のためのキーアクションを明確にし、その実行度を定期的に可視化する。

4.アクションとVOC評価の相関分析と振り返り
実行したアクションが本当にCX向上につながったのかを検証し、次の改善につなげる。 このサイクルを回し続けることで、CX向上の取り組みは「確からしさ」を持ち、企業全体に定着していきます。
 

まとめ:プロセス可視化こそが真のデータドリブン経営をつくる


 本稿で見てきた通り、データドリブンマネジメントの本質は「分析すること」ではありません。ましてや、データ収集基盤をつくることやデータを可視化するためのBIを調達することでもありません。

 顧客視点で企業活動を捉え、打ち手と成果の相関を検証できる業務プロセスを設計することにあります。

そのために重要なのは、
  1. 組織間のデータ・KPIを接続し、真のデータマネジメントを実現すること
  2. CX向上(=売上向上と仮設定)を軸としたCXマネジメントツリーを設計すること
  3. KPI達成に向けた打ち手をアクションレベルまで定義し、効果検証まで含めた業務プロセスを型化すること
  4. KPI達成状況を踏まえたリソース配分や事業ポートフォリオの再設計につなげること

 これらが揃ったとき、企業のPDCAは完成し、RevOpsは現実のものとなります。データを「資産」として活用し、顧客視点のプロセスマネジメントを実装できるかどうか。その差が、これからのエンタープライズ企業の競争力を大きく左右していくでしょう。

 2025年11月に行ったB2Bアジェンダ2025では「部門横断で利益体質の組織をつくるデータ活用・業務プロセス改革」のセッションを行いました。このキーノートセッションでは、部門横断でRevOpsを推進していくために3Ps「People/Process/Platform」は何かという問いについて皆さんと語り合いました。

 本稿の最後として私自身が大切だと考える3Psをご紹介したいと思います。
 

People:

これまでの活動の良し悪しやこれから必要なアクションをデータドリブンに考え、プロセスに落とし込むことのできる人材の輩出と活用。
 

Process:

事業に必要なinputを拡充し、outputを相関分析できるようなPDCAサイクルをアクションレベルまで落としこまれている業務プロセスの構築。
 

Platform:

企業バリューチェーンにかかわるあらゆるデータの接続性の担保。データの共通言語化。

 CX向上も実現することのできるRevOpsの推進は、AIによる相関分析能力の向上により実現がしやすくなってきています。一方、企業にある様々なデータが接続されていないことや必要なPDCAプロセスが構築されていないことで、限定されたソースだけでAIに解釈をさせて結論を出してしまい、結果信頼性の低いアウトプットになることも大きな懸念です。

 AI時代に「データ」という企業の資産を有効活用した「顧客視点の真のデータマネジメント」を進めていくために、行うべきネクストアクションは何かを、今こそ振り返る時期なのではないでしょうか。
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