B2Bアジェンダ2025レポート #02
経営がBtoBマーケ組織に期待する役割とは?パナソニック コネクト関口氏が2人の経営層に深掘り【B2Bアジェンダ2025レポート】
「独自の価値」を生み出すシグナル
里村 マーケティング組織は「越境性」と「レア体験」によって価値創造できると考えています。まず「越境性」は「社内外を動かしていく」という意味ですが、柳沢さんもおっしゃったように、顧客、パートナー、社内など、全てに関わっていけるポジションにいるのがマーケターです。顧客を動かし、コラボレーションやスポンサードによって新しいサービス・プロダクトを生み出すことができます。また社内に対しても、たとえば先ほどお話したようなスローガンをまとめたり、各部門とつながって動かしたりしていけるのはマーケターの強みです。経営側からすると、マーケティングの「顧客への価値提案」と「社内組織改革」は、非常に価値のある活動だと思います。
もうひとつの「レア体験」は、つまりは独自性です。これはマーケター個人としても、組織としても、企業としても必要なことだと考えています。BtoBは「合理の世界」と思われがちですが、実際は購買担当も経営層も「人」であり、意見の合意が重要です。ユーザーに対して「特別扱いされている」「一緒に未来をつくっている」という稀少性や物語性、ワクワク感を共有することで差別化につながります。越境性と独自性を備えたマーケターは会社全体を動かす原動力として、経営側からの期待も高いと思います。
関口 「独自性」は、柳沢さんも冒頭におっしゃっていましたね。ただ、突き詰めると非常にニッチになってしまうのが、「独自性」の難しさです。この辺りはどうお考えですか?
里村 経験上、ブランディングと近いと思っていますが、優位性のベースになるのはあくまで「ブランドのイメージ」です。トヨタがシルバーアクセサリーをつくったら「?」となりますが、ルイ・ヴィトンならあり得ますよね。便益の差別化だけでなく、ブランドが持っている強みをどう生かすか、さらに強くするにはどうするかという観点で考えると、独自性もつくりやすいと思います。
柳沢 当社の場合、meviyは元から独自性のあるものだったため、正直、他社との差別化に悩んだことがあまりないです。逆に、世の中になかったものだから「どう使えるのか」というハードルを感じさせてしまうのが課題です。
関口 今まで体験されたことのない価値を伝えるのは、それはそれで難しいですね。
柳沢 若手社員さんが上司に言わずにこっそりmeviyを使う、というケースが散見されます。もっと堂々と使われるべきサービスであることを伝えていかなければならないフェーズです。
里村 今おっしゃった、「実は若い人がこっそり使っている」というのは、非常に重要なヒントですね。こちらが思ってもいない形で使われていたり、「あ、そこがユーザーにとって気になっていたのか」と気づかされたりすることは、どんなブランドでもあります。それこそがブランドシグナルで、見つけられたら素晴らしいと思います。
関口 N1分析もそうですが、「これが独自価値だったのか」と、顧客に教えてもらうことは非常に多いですよね。最後の質問ですが、経営とマーケの連携について、どのような点が重要だと思われますか。
柳沢 私としては、やはり事業に関わる全員が、価値提供による売上の向上を意識する組織づくりが重要だと考えています。その中でマーケティングは領域が細分化され、チームごとにKPIが定義されているため、どうしても「部分最適」に陥ってしまうことが起こり得ます。そこで当社では、マーケティング部門の評価項目に売上への貢献指標を紐づけるなど、部門横断で「売上への貢献」を共有する仕組みづくりを進めています。経営側としても、マーケと密にコミュニケーションを取りながら、全員が同じ方向を向ける環境を目指しています。
また、「認知と獲得のリソース配分」も意識する必要があります。これは私自身の反省でもありますが、売上や獲得人数は定量的に成果を測りやすいため、ついリソースを集中させたくなります。しかし上流の認知が広がらないまま獲得に偏り続けると、いずれ成長が頭打ちになるでしょう。経営側が意志を持って認知施策にリソースを配分すべきだと思っていますし、マーケティング活動の貢献を定量的に評価し、より適正な投資をするためのコンセンサスづくりも進めたいと思っています。
里村 本来、ユーザーに最も近く、データや顧客の声、気づきを数多く持っているのがマーケターです。それをベースに「こうあるべきだ」と自ら考え、社内外でフロントに立って発信していく「覚悟」と、独自性やギャップを打ち出す「あまのじゃく感」が、結果的に社内の各部門や社外のステークホルダーをつなぐ潤滑油となります。そのためには少し昭和っぽいですが、ご飯を食べながら少し深い話をする、というのも選択肢だと思います。個人プレイだけでなくチームワークも大切で、そのほうが組織全体を大きく動かせるし、絶対に面白いことができます。
関口 ありがとうございました。経営層であるお二人の話を伺って、私自身も自社に当てはめて考えてみましたが、やはり「顧客理解」がベースかつ最重要でありつつ、それ以外にも「レア体験」「越境」「リソース配分」など、想定外のワードが多々出てきました。会場の皆さんもぜひ、自社のマーケティングに当てはめて考えていただければと思います。本日はありがとうございました。
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