B2Bアジェンダ2025レポート #03

旭化成、LIXILと考える「利益体質」の組織づくり レベニューオペレーションを実現するデータ活用とプロセス改革とは【B2Bアジェンダ2025レポート】

 

RevOpsの「穴」とは? 処方箋は「話せる関係」


徳田 では、3つ目の問いに移ります。RevOpsにおいて陥りがちな「穴」、そして処方箋をお伺いします。どの企業もつまずきがちな「穴」はあると思うのですが、旭化成ではいかがですか。

鈴木 「定義がバラバラ」「ツール導入で満足」「データ未連携」の3つですね。先ほどからの話につながりますが、やはり目標に対して営業・開発・マーケティングの目線が噛み合っていないのに、マーケティング部門が一方的に「こういうもんだから」と話をしてしまうと、反発も出やすいです。グローバルでは言語の問題もあります。教育プログラムとも組み合わせながら、寄り添って目線を合わせていく必要があると考えます。各部門と連携してSLA(サービスレベル合意)として決めたルールを明文化して、実態が合わないのであれば、定期的にアップデートしていく関係性をつくるのも、大事なルーティンだと思います。

ツール導入で満足しがちなのも課題です。高価なシステムを入れるだけでなく、しっかりオペレーションできる人材を育て、マーケティング施策をスピーディーに実装できる組織でなければなりません。データ連携については、先ほどお話したようにプレイブックなどを使ってオペレーションの「型」や営業への引き渡しルールを定め、BI(ビジネスインテリジェンス)可視化までシステム改修をやり抜くのが対策になると思います。

徳田 見るべき方向や評価方法が部門によって違う問題は、どう対策すればいいでしょうか。

鈴木 泥臭いですが、やはり経営目標、事業目標に立ち返ることです。細かな現場の課題を引き上げ、俯瞰したところから見直すことで、納得感を持ちながら、営業だけでなく開発を含めてしっかりコミュニケーションしていくことだと思います。

徳田 やはり、「話せる関係にある」という文化的なところが、重要なファクターになりそうですね。

鈴木 あとは、マーケティング部門の活動について社内発信するのも有効です。たとえば数ヵ月後に出す予定のリリースについて事前に共有したり、アルファベットの専門用語を解説したり。いわばインターナルマーケティングです。

徳田 エンドポイントだけを見ているとマーケティングが何をやっているかわからない部分がありますが、細かい部分まで共有することで、解像度を上げていくのはひとつの手ですね。安井さん、いかがですか。
 

バリューチェーン全体を可視化し、顧客軸で見る


安井 鈴木さんと似ていますが、「個別最適」と「リンク切れ」が、陥りやすい「穴」だと思います。事業部やファンクション、拠点ごとにバラバラだった施策を、顧客軸で一貫した施策ができるようにガバナンスを効かせることが重要です。また、当社のように、メーカー、卸・流通、リフォーム店、施工業者など、さまざまなビジネスパートナーが関わるバリューチェーンがある業態の場合、その中に施策に対して消極的な相手がいると、いくら社内や直接的なパートナーとの連携を深めてもその先でリンクが切れてしまい、エンドユーザーに価値を届けられなくなります。

私は、バリューチェーンは掛け算だと思っています。どこかがゼロだと、全てがゼロになってしまう。ですから我々はバリューチェーン全体を可視化し、ビジネスパートナーの側に立って考えることを重視しています。何かを新しく始めるときにはパートナーに話を聞きに行って、課題や心配事を聞き出すようにしています。

徳田 バリューチェーンにおける「リンク切れ」は結構ありそうですね。あるステークホルダーが「こうやるのが一番いい」と言っても、次のステークホルダーは「全然ダメ」というようなことが、実際に起こります。「個別最適」に対する処方箋として示されている「顧客軸」は、具体的にはどういうことでしょうか。

安井 一連のバリューチェーンにおいて「どこを見ているか」ということです。営業部門は流通を見ていて、私たちはリフォーム会社を見ていて、別の人はエンドユーザーを見ているという状態だと、施策の方向性がずれてしまいます。顧客は誰で、そこに向かってどんな施策を、どう動かしていくか。どのように考えてビジネスを回していくか。みんなで共通したイメージを持っていないと、顧客に届けるべき価値を届けられなくなります。

徳田 なるほど。ありがとうございます。最後に、私からもひとついいでしょうか。「こんな思い違いをしているかもしれない」という絵を描かせていただきました。



各組織が「The Model」のように分業制で動いていると、それぞれにKPIを立てていると思います。たとえば一項目20点として、100点中60点を合格としたときに縦(組織別)で見ると、どこの組織も合格しているように見えますが、横(顧客別)で見ると、3社の評価は100点中40点なので不合格になります。これがRevOpsで一番、注意しなければいけないことではないかと思っています。

私が所属するNTTドコモビジネスは、「RevOps=CX」と仮定義していますが、そのようにお客さま目線で見た時に、我々が本当に良い事業体となれているかどうか、常に意識しなければなりません。0点は、他に何をかけても0点ですから。
 

顧客もAIを使いこなす中、企業のアプローチとは


徳田 最後に今後のRevOpsに対するお考えを、生成AIの活用も含めてお二方から一言ずついただけますか。

鈴木 旭化成としてもRevOpsは十分に達成できていないところがあり、やらなければならないことはまだまだ多いです。重要なのは「データでいかに動かすか」です。収益までの道筋とボトルネックを可視化し、生産性向上はもちろんですが、先回りしてお客さまに価値を届けるのが大事だと思います。そこにはやはり、生成AIやデータの分析が不可欠になってくるでしょう。

安井 鈴木さんが言うように、ボトルネックの可視化は重要です。ボトルネック以外の部分をいくら改善しても、改善になりませんよね。

私からは別の話をさせていただくと、LIXILのWebページには製品の故障時などにお客さまが自分で対処方法を調べられるサポートページがあります。このページへのアクセス数がじつは、微減してきているんです。理由はもちろん、AIに聞けば答えが出るからです。これはすごく興味深い兆しだと思っています。

我々がいかに「ちゃんとWebページをつくりました。コンテンツをつくりました」と言っても、お客さまはAIに聞いてそれでおしまい、という状態はもっと増えてくるでしょう。その時に、AIが我々の期待する回答をお客さまにしてくれたり、我々のページに誘導してくれたりといったことが、必要になります。社内でのAI活用はもちろんですが、顧客もAIを活用する中で、我々はどうアプローチするか、今後は課題になると思います。

徳田 AIの話をし始めると終わらなくなってしまいますが、続きはぜひ懇親会で。お二方、本日は視座の高いお話をありがとうございました。

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