マーケティングアジェンダ2026 #17
業界の常識が、音を立てて、ギシギシと変化しているーマーケティングアジェンダ沖縄2026参加レポート【前編】
2026/06/19
開催10年目の節目を迎えたマーケティングアジェンダ
6月2日(火)~ 6月4日(木)、ラグナガーデンホテル(沖縄県宜野湾市)にて、毎年恒例のマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ沖縄」が開催されました。
すでに6年もの間、「アジェンダノート」に毎月記事を執筆している筆者ですが、「マーケティングアジェンダ沖縄」に参加するのは、昨年に続いて今回で2回目です。

350名以上のトップマーケターが集結する同カンファレンスの今回のメインテーマは「Marketer Evolution マーケター進化論」。会期3日間に語られたこと・体験できたことを、筆者なりの視点でレポートします。
前編となる今回は、マーケティングアジェンダ沖縄2026の全体テーマであった「Marketer Evolution マーケター進化論」について、数々のセッションおよびプレゼンテーションで語られたことや、それを通じて筆者が考えたことを振り返ります。
AIはもはや“騒動”ではなくなった
マーケティングアジェンダには、大きく分けて2種類の参加者がいます。一方は「ブランド」と呼ばれる事業会社側の方々であり、もう一方は「パートナー」と呼ばれるサービスベンダー側の方々です。
たとえば、ソフトバンクやダイキンは「ブランド」の方々であり、サイバーエージェントやオプトは「パートナー」の方々となります。昨年はお見かけしなかったテレビ東京コミュニケーションズも「パートナー」としての参加でした。(筆者自身はまた別の枠組みである「アンバサダー」枠でした)。
今回も2025年開催時と同様に、AI活用について多く語られたのですが、筆者の感覚としては「AIはもはや“騒動”ではなくなった」という印象がありました。AI活用は、すでにごく普通のこと。「AIっていう新しい得体の知れないヤツがやって来て、いったいどう付き合えばいいんだ?」といった“騒動感”はほぼ消滅し、もっと具体的な「使われ方」、AIを使っていることが前提で、「今までできなかったこんなことができるようになります」といった話が多かったように思います。
マーケティングアジェンダのイベントとしてのコンテンツは、主にブランド側の方が語る「キーノート」と、パートナー側の方が語る「プレゼンテーション」で構成されています。「プレゼンテーション」は、10分・20分・30分の枠があって、パートナー側が自社のサービスやプロダクトについてプレゼンテーションする時間になっています。そのプレゼンをより効果的にするために、そのサービスに関係のあるブランド側の方と一緒に登壇する姿も多く見られました。
今回、このプレゼンテーションが、筆者には、なかなかに刺激的で面白かったのです。本当に、本格的に、「業界が劇的な変化の途上にある」と、いくつものプレゼンテーションから感じました。言ってみれば、「業界が、音を立てて、ギシギシと変化している」といった感覚です。
たとえば、サイバーエージェントさんによる「クリエイティブ制作進化論発注者から設計者へ ── AIがマーケターの役割を塗り替える」でのデモンストレーションには、度肝を抜かれました。AIを活用することで本当にいとも簡単に、発注者の立場の人がバナー広告を自分で何パターンも制作できてしまうのです。
筆者自身は、たとえば駅貼り広告やテレビCMなど、差し替えるのに多額の費用のかかる制作物においては「どの案が良いのか?」を判断する部分では、まだまだヒトによるプロの技が必要だと考えているのですが、バナー広告であれば多数制作して、ABテストを繰り返して最適の広告表現に辿り着くということもできるでしょうから、これは相当な“変化”です。
しかも、それぞれの事業会社に合わせて、AIを最適化させていけるとも言っていました。雑誌広告のキャッチコピーやビジュアルアイデアをうんうん唸って夜中に考えて、ブランド側の方とあーでもないこーでもないと議論してやっと1案に決めて制作してきた筆者(広告会社のコピーライター出身です)からすると、その変化からは“ギシギシ”と音が聞こえてくるようでした。
他にも、楽天さんによる「楽天データ×地上波テレビCM」(現在開発中とのこと)により、個別のテレビCM枠と購買データ等を紐づけられるようになる、というプレゼンも驚きでした。地上波テレビCMは、たとえば知名度アップ等に対する効果が大きいことは“経験的”に分かっているけれど、購買とどう結びついているか?は直接的には分からない、というのが通説でした。それも覆りつつあるようです。
また、サイカさんによる「AIをブランド側の意思決定に役立てるサービス」についてのプレゼン(AI時代でも意思決定部分はヒトの役割だと考えていたので)、そして、電通さんによる「ファンダムを活用したマーケティングプランニング」のプレゼン(広告会社勤務時代、ファンダム活用を専門的に扱っている人達はいなかったので)も、筆者の常識をブチ破るものでした。




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