ダイレクトアジェンダ特別企画

「ECサイトの商品は、店頭販売に最適化されたパッケージである必要はない」アスクル 輿水宏哲、オイシックス・ラ・大地 西井敏恭【対談】

家に置いて気持ちのいいパッケージ商品

輿水 私たちも社内で、毎日のように生活者起点で常識を打破しようという話をしています。例えば、「LOHACO Water 410ml」というPBのミネラルウォーターは、ラベルレスで捨てるときにラベルを剥がす手間がなく、分別しやすいパッケージです。デザインも暮らしになじむようにシンプルにして、製造元や容量など記載しないといけない情報はQRコードから見られるようにしました。
 
「LOHACOウォーター」
西井 たしかに、従来は店頭に並ぶことを前提にパッケージデザインが行われてきましたが、ECであれば効果効能などの情報は購入時にWebサイト上で見られるので、わざわざパッケージに書く必要はありません。

 僕も前職の化粧品会社では、生活の中に置いても気持ちのいいパッケージにしたいと考えていました。例えば、「ニキビが治る」と大きく書いてある商品を部屋に置くのは、お客さまにとって気持ちいい体験ではないですよね。

輿水 その通りですよね。商品パッケージは店頭で目立つことに最適化されていて、家に持って帰ると、どうしても違和感が生まれてしまうことが多いのです。そこで我々は、生活者起点の商品デザインをナショナルブランドのメーカーと一緒に開発しています。

 第1弾は、2015年に花王と手掛けた「リセッシュ除菌EX ナチュラルストーンデザインボトル」です。リセッシュも店頭に置く場合は消臭という効能を中心に伝える必要がありますが、それを暮らしになじむパッケージに変えたことで、個人はもちろんホテルなどの法人からも多くの注文をいただいています。

 2017年に発売した花王「ビオレu 泡ハンドソープ ポーセリンデザイン」も、通常品よりも約70円高い値段にもかかわらず、販売開始から30週で、3柄合わせて通常品の約35倍売れました。中身は同じなので、パッケージ変更でこんなにも売れるのかという分かりやすい好例だと思います。
 
「リセッシュ除菌EX ナチュラルストーンデザインボトル」(左)、「ビオレu 泡ハンドソープ ポーセリンデザイン」(右)。
西井 すごいですね。そういったメーカーとの商品づくりは、LOHACOが主導するのですか。

輿水 最終的にはメーカー側に決定してもらっていますが、何度もやりとりをします。

西井 LOHACOオリジナルパッケージのデザインに当たって、トーン&マナーなどルールはあるのですか。

輿水 「暮らしになじむ」を統一コンセプトにしたうえで、その時々のテーマに合わせてイメージ写真をメーカー側の担当者にお見せしたりして、すり合わせています。あとは、数値的な効果・効能をパッケージに大きく表記しないなどお願いすることもありますが、商品を一緒につくる中でお互いに勝手が分かってくるという感じですね。

 
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