CESレポート #04

自動運転で“部屋化”する車、世界初の商用5Gサービスの“ちょっとしたズル”【CESレポート・電通 若園祐作】

AMDのキーノートから考えさせられるCESでの企業スタンス

 未来の暮らしを語ったLGとは対照的なキーノート発表を行ったのがAMDです。
AMDはPC向けの老舗CPU/GPUメーカーで、CPU業界でもGPU業界でも2番手の位置づけにあります。彼らは長らく業界トップに正面から対抗しうる製品が出せずに苦しんでいましたが、近年優秀なCPU設計者と現社長のカリスマ性によって息を吹き返すことに成功。業界トップであるIntelやNVIDIAに追いつけ追い越せという気迫に溢れています。

 そんな状況の中、見事期待に応える高性能なCPU、GPUを発表してみせ、会場を拍手と歓声で満たしていました。
 
図 10: Intelの現行製品を凌駕する性能の新型CPU発表。素性のよいRyzenシリーズが順当に進化すれば、最近足踏みが続くIntelのCPUに性能で追いつくだろうとは期待されていました。
 彼らがLGらと異なるのは、業界や自社のビジョン、未来についてほぼ言及しなかったことです。CESとは未来を示す以上に「直近でどれほどとんでもない製品を出してくれるのか、私たちはそれをいつ手に入れられるのか」を期待されている場でもあり、Keynoteであっても、あえてその期待にまっすぐに応えるというのも企業が取り得る戦術です。

 彼らが今後の方針を明言せずとも、明確で(昨年のHuaweiとは異なり)米国内にファンが多いこともこのKeynoteが良い反応を得られた一因ではありますが、CESというイベントの位置づけは各企業、各業界、各参加者によって大きく異なることを再度考えさせられる発表でした。
 
図 11: ムーアの法則を持続できなくなり今後のコンピュータの性能向上が疑問視されはじめる中、それでも愚直に性能を向上させ続けることがAMDの方針と言えるかもしれません。


 
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