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「PRアワード2025」グランプリは能登半島地震「命を守るリアルタイム広報」 審査基準に「オーセンティシティ」など加わる

 

思想としての「パブリックリレーションズ」を体現


 日本パブリックリレーションズ協会は2025年12月1日、優れたPR事例を顕彰する「PRアワード2025」の審査結果を発表した。計98件のエントリーに対し、12件が入賞。石川県を事業主体とし、博報堂などがエントリーした「PRパーソンの未来予測を、災害対応に応用『能登半島地震 命を守る災害対応リアルタイム広報』」がグランプリに選ばれた。

 P&Gでマーケティング・広報に長年従事し、資生堂のエグゼクティブオフィサーやカンヌライオンズ審査員も務めたシナジア 代表取締役の田上智子氏を審査委員長とする10人が審査にあたった。

 今回の審査方針は「『真のPR』が社会を変革する」。基本の審査基準に以下の3つの観点を加え、単なる手法ではなく思想としての「パブリックリレーションズ」を体現し、本質的な価値を生み出す活動の指針となるアワードを目指したという。

▼審査基準に加わった観点
  1. オーセンティシティ(必然性): 事業と社会を貫く「自分らしさ」で本質的な「課題」を設定しているか?
  2. マルチステークホルダーとの共創(対話によるうねり): 「対話」で社会を動かす「うねり」を創ったか?
  3. パイオニアシップ(覚悟): 「覚悟」が次代のPRを拓く「先鞭」となったか?

 以下、受賞作品(事業主体、エントリー企業)と評価ポイントを振り返る。
 

グランプリは能登半島地震の「命を守るリアルタイム広報」


〈PRパーソンの未来予測を、災害対応に応用『能登半島地震 命を守る災害対応リアルタイム広報』〉
(事業主体:石川県、エントリー企業:博報堂/北陸博報堂/博報堂プロダクツ/オズマピーアール/レオン)
  
能登への応援消費を促すロゴの無料ダウンロードや応援メッセージを発信しやすい仕組みがつくられ、行動変容を促した。(画像出典:石川県 リリース)

【評価ポイント】災害大国日本において、行政主体の「命を守る広報活動」の基本をプロボノチームと連携し高次元で実践。デマや風評被害にタイムリーに対応し、関連死の抑制に貢献した。斬新さよりも、この活動が次世代の行政広報の「お手本」となり、未来の公共サービスを切り拓くパイオニアシップを発露した意義を評価した。
 

ゴールドは金龍製麺「金龍のしっぽ」プロジェクト


〈人気スポット消失の危機を、笑いによる合意形成で地域を巻き込む物語に 道頓堀 金龍のしっぽプロジェクト〉
(事業主体:金龍製麺、エントリー企業:博報堂/オズマピーアール)
  
訴訟にもなった「しっぽ」撤去騒動をカニ店とのコラボレーションに昇華したことが評価された。(画像出典:オズマピーアール公式サイト)

【評価ポイント】「対立と分断」という難しい状況を大阪らしいユーモアと「物語の共有」で見事に融和。単なる面白さではなく訴訟相手への配慮や炎上リスクの回避など、経営の「覚悟」を伴った戦略を評価。アイデアの力で地域の合意形成を導いたPRクリエイティブの優れた事例。
 

シルバーはファミマの「涙目シール」など4件


〈中小企業の「賃上げ」の閉そく感を打破!福利厚生を活用した新たな賃上げ手法「第3の賃上げ」〉
事業主体:エデンレッドジャパン
エントリー企業:エデンレッドジャパン/KMCgroup
  
審査員は「賃上げという社会文脈に乗せ、世の中で議論すべきアジェンダに昇華させた好例」と評価。(画像出典:エデンレッドジャパン公式サイト)

〈物件探しを強化したいけど、お金も社内人的リソースが足りない…そうだ!お客様に地元の物件を探してもらおう!「バーガーキングを増やそう」キャンペーン〉
事業主体:BURGER KING JAPAN(ビーケージャパンホールディングス)
エントリー企業:ザ・プロデュース合同会社/DE/アンティル/sfrth
  
地元の空き物件を顧客に探してもらう発想と、ローカリティを生かした顧客との関係性デザインが評価された。(画像出典:バーガーキング公式サイト)

〈「助けたいから買う」 ― 貢献意欲を引き出し、食品ロスの削減につなげたファミマの『涙目シール』〉
事業主体:ファミリーマート
エントリー企業:The Breakthrough Company GO
 
「企業でもお店でもなく、おにぎりとお客さんの関係」を結び直し、食品廃棄問題に挑んだ斬新さが評価された。(画像出典:The Breakthrough Company GO)

〈人生 100 年時代をどう生きるか 介護施設のシニア 1 万人と紡ぐ「Be サポーターズ!」の幸せな物語〉
事業主体:サントリーウエルネス
エントリー会社:サントリーウエルネス
 
「シンプルで強いPRコアアイデアと中長期のシナリオ設計が融合した、美しいPRデザインが光る取り組み」と評価。(動画出典:Be サポーターズ!公式サイト)
 

ブロンズはくら寿司の「回転すし万博」など5件


〈人がいないなら呼んでこよう!市民の「手伝って」を伝えるプラットフォーム「ヒダスケ!」で年間1,500人の担い手を確保〉
事業主体:岐阜県飛騨市
エントリー企業:岐阜県飛騨市
  
地域の悩みを解決するためのプラットフォーム構築。「まさに広報の『関係づくり』の力を体現」と評価。(画像出典:ヒダスケ公式サイト)
 
〈かってに芥川賞・直木賞〉
事業主体:かってに文学賞事務局
エントリー企業:かってに文学賞事務局
 
「最小コストと情熱で波及を生み、PRの現場で味わう『仕掛ける楽しさ』がいきいきと伝わる事例」と審査員。(画像出典:かってに文学賞事務局のX)

〈第三者推奨を起点とした従業員エンゲージメント向上プロジェクト「おかんパン」〉
事業主体:ダイヤ
エントリー企業:ダイヤ/はずむ
  
「商品開発プロセスの初期からPR視点を入れ、新たな大阪名物となるパンを生みだすことに成功。従業員エンゲージメント向上や離職率の低下、売上にも大きく寄与」と評価された。(画像出典:ダイヤ公式サイト)

〈業界の垣根を超えた難病支援プロジェクト「I know IBD」〉
事業主体:アッヴィ合同会社
エントリー企業:プラップジャパン
 
IBD患者が安心してトイレを使えるよう、店舗や企業が貼れるステッカー。外出に不安を抱えるIBD患者への協力・共感を多くの店舗・企業から集めてきた地道な活動の積み重ねのほか、「多様性理解や思いやりの醸成を促すポイントが詰まっている」と評価された。(画像出典:I know IBD公式サイト)

〈回転レーンで世界つなぐ―70カ国の料理が巡る、「回転すし、魅力最・再訴求」万博プロジェクト〉
事業主体:くら寿司
エントリー企業:電通PRコンサルティング
  
「70ヵ国の料理の地道なリサーチ。25ヵ国におよぶ大使館との連携。さまざまなステークホルダーとの双方向性コミュニケーションの積み重ねが結実」と評価された。(画像出典:電通PRコンサルティング)

 また、審査委員特別賞には珠洲市立大谷小中学校の「能登半島地震の被災地で生まれたカプセルトイ 珠洲市立大谷小中学校 児童生徒 発案『OHTANI CHARM』」が選ばれた。

 田上審査委員長は、本アワードの審査は「真のPRを問い直す意義深い議論になった」と総括。「パブリックリレーションズは、社会変革の主役となり得る、エキサイティングで可能性に満ちた分野。アワードを通じて見出された『覚悟』に満ちた事例が、次世代のPRパーソンに大きなインスピレーションを与え、業界全体の発展を力強く牽引していくことを確信する」と期待を込めた。

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