デザインとブランドはどこへゆく? AI時代のクリエイティブ談議 #1

デザイナーは「つくる人」から「問いを立てる人」へ そのカギとなるのが「センス」だ【デイリーフレッシュ 秋山具義】

 デジタルメディア・チャネルはますます多様化し、AIは驚くべきスピードで私たちの暮らしや仕事に浸透しつつあります。企業・ブランドを取り巻く環境が劇的に変化する中で、その企業・ブランドの「あり方」や「らしさ」を表現する際の考え方や方法論もまた、変化を迫られているのではないでしょうか。

 ロゴや広告はもちろん、言葉やメッセージ、関係者の振る舞いを含むUI/UXまで。秋山具義(クリエイティブディレクター / アートディレクター)が、第一線で活躍する多様なクリエイターとの対話を通じて、現代のブランド表現のあり方を問い直すとともに、これからのデザインの可能性を探っていきます。

 連載第1回は、私自身が、AI時代のデザインについて今考えていることや、この連載を通じて考えたいこと・問い直したいことを綴ります。
 

AI時代に、デザインはどこへ向かうのか


 ここ数年、デザインやクリエイティブを取り巻く環境は大きく変わりました。とくにAIの登場によって、「デザインは誰のものなのか」「デザイナーはこれから何をする存在なのか」という問いが、急に現実味を帯びてきたように感じています。
正直に言うと、最初は少し戸惑いもありました。画像生成、文章生成、ロゴ生成——これまで時間をかけて考え、試行錯誤してきたことが、AIによって一瞬で“それっぽく”形になる。便利さに感心する一方で、「では人間の仕事はどこに残るのか?」という不安もありました。

ただ、しばらくAIと向き合ってみて、今は考え方が変わっています。AIは「考えること」を奪う存在ではなく、「考え方」を浮き彫りにする存在なのではないか。そう思うようになりました。
 
秋山具義 氏
デイリーフレッシュ株式会社 代表取締役
クリエイティブディレクター/アートディレクター


 1966年秋葉原生まれ。1990年日本大学芸術学部卒業。同年、株式会社I&S(現I&S BBDO)入社。1999年デイリーフレッシュ設立。日本大学芸術学部 デザイン学科 客員教授。iU情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。広告キャンペーン、パッケージ、ロゴ、キャラクターデザインなど幅広い分野でアートディレクションを行う。
主な仕事に、東洋水産「マルちゃん正麺」広告・パッケージデザイン、日本フェンシング協会「新国章」デザイン、松竹「十八代目 中村勘三郎 襲名披露」ポスター、立命館大学 コミュニケーションマークデザイン、AKB48「ヘビーローテーション」CDジャケットデザインなど。「日本パッケージデザイン大賞2017」にて「マルちゃん正麺カップ」が金賞受賞。著書に「世界はデザインでできている」「ファストアイデア25」がある。

 2016年より「食べログ」グルメ著名人としても活動。テレビ朝日『キッチンカー大作戦!』にグルメ賢者としてレギュラー出演、J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』にランチの達人としてレギュラー出演中。 2025年3月にカイカイキキのギャラリー「Hidari Zingaro」にて『秋山具義の陶芸展』開催。
 

私にとって「いいデザイン」とは


 この連載では、毎回ゲストの方に「あなたにとって、いいデザインとは何ですか?」と聞いていこうと思っています。それは、自分自身にも常に問い直したい質問だからです。

 私にとっての「いいデザイン」は、見た目が美しいとか、完成度が高いということだけではありません。そのデザインが、人の行動や気持ちを、ほんの少し動かすかどうか。そこに価値があると思っています。

 たとえば、私が好きなデザインで言うと、Appleの齧ったリンゴのロゴマークやマクドナルドの黄色いMのマークなど、長く愛されているものは、時代の空気をちゃんと吸い込みながらも、使う人の中で意味が育っていく余白を持っていると思います。
     
ChatGPTにて作成

 一方で、時代によって役割を変えたり、表情を変えながら生き続けていくデザインもある。

 自分が関わってきた『マルちゃん正麺』のパッケージデザインや『立命館大学』のコミュニケーションマークのデザインなどでも、そういうことを意識しています。





 つまり、普遍的なものと、時代や状況によって変わるもの。その両方を同時に抱えているのが、いいデザインなのではないでしょうか

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