SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #09

位置情報まで共有する私たち。友人との“内向きなコミュニティ”で進化する多様な発信

「親しい人ともっとつながる」インターネットを知っていますか?

 さらに「限られている友人に発信したい」内容は、日々進化している。

 去年の秋頃に、若くて情報感度の高い男女の間で”ハマっている”と聞くようになっていた「Zenly」というアプリがある。Zenlyは、自分の位置情報を限られた友人に常に表示させておくサービスだ。

 カフェでずっと位置情報が動かなければ、「あのカフェで休憩中かな」と思ったり、オフィスビルに平日ずっといるならば、そこが職場だなとわかったりする。位置情報はON/OFFが可能で、また情報を共有する人もかなり少数なため、仲の良い友人に「私はここにいるよ」とアピールするアプリだと思うと、良いかもしれない。もちろん、待ち合わせのときだけ活用する人もいるようだ。(参考



 人によっては、「なぜ他人に自分の位置情報を知られていて平気なの?!」と思うだろう。けれど、彼女たちにとって、「仲がいい友だちが自分のいる場所を知っていてくれることが楽なのだ」という。

 過去に一緒にランチをしたことのある大学生で「恋人とは常にLINEの通話をつなぎっぱなし」という声も聞いたことがある。これはティーン誌の編集者と盛り上がった話題だが、彼女たちも「相手の寝息を聞いて、寝たことを確かめる」「向こうが勉強している音を聞きながら自分も勉強する」と言っていたようだ。

 私たちは、通信技術の発達によって、会っている状態に近い情報を相手に渡すことができる。まさにこれは、動画の手軽な投稿や無料通話、位置情報のリアルタイム発信が可能だからできる、濃密な他者とのコミュニケーション欲求の発露だ。

 それはLINEのスタンプのように相手にリアクションを促すものではなく、「ただ、知っていてね」「興味があったら、話しかけてOKだよ」というコミュニケーションになる。リアルタイムの情報やセンシティブな心情をオープンに公開するソーシャルメディアが流行っている現代だからこそ、より大事な位置情報やリアルな生活情報を相手が知っていてもいいし、むしろ相手に知っていて欲しいのだ。そんな深くて近い関係性ができあがっているのである。

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