SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #09
位置情報まで共有する私たち。友人との“内向きなコミュニティ”で進化する多様な発信
「広く伝える」だけじゃないのは、個人アカウントだけではない
オープンでかっこつけた外向けの発信とは真逆の狭いコミュニティに向けた発信は、何も個人に限られたものだけではない。ムクリというInstagramアカウントのインスタライブは、偶然とは言え、フォロワー限定のLIVEを行っていたところ、フォロワーが月間2万人というスピードで伸びたという。(参考)
また、非公開にするメリットは、フォロワーが増えていくことだけではない。
「月間2万人ずつくらい増えて、解除されることもなく継続してフォローしてくれる人が多い印象です。非公開にすることで、本当に関心の高い熱量のある人だけが見に来てくれるので、配信中のコメント欄も平和なものになるんですよね。公開アカウントにしていると海外ユーザーが流れ込んで、的外れなコメントが増えてしまうんですよ。そうすると一気に場の空気が萎えてしまいます」(記事内より引用)
ムクリの編集長が語るように、コミュニティ運営に置いて「あえて閉じる」という選択肢が長期的な視点で見たときに効果をあげるパターンになることだってあるのだ。
会員限定イベントや会員限定セールなど、オフラインやECサイトで用いられていた施策が、SNSにやってきてもおかしくはない。”広く、誰にでも見つかりやすい形で伝えるのがSNSの役目だ”と現在は思われているとしても。
閉じていくインターネット2.0
最近、「閉じていくインターネット」という言葉をよく聞く。オープンなインターネットがインフラ化して、SNSに大量の人がやってきたことで、ちょっとしたことでの炎上や誤解が生まれるようになり、疲弊した私たちは、非公開コミュニティなどをはじめとする限られた人だけが見られるコンテンツや居場所を好むようになっていく…という話である。しかし、実際は、そういう人はずっと前から閉じたインターネットを楽しんでいて、開かれたインターネットで傷ついた人たちが回帰しているだけのように見える。そして、だからこそ閉じたインターネットは、進化し続けているのである。
ソーシャルメディアは、すでに成熟期である。だからこそ、「広く伝える」だけではなく「狭く・深く・無理強いせずに伝える」現代人の深い関係性のルールを意識して、コトコトと煮込むような暖かいコミュニケーションが設計できれば、個人と個人、個人と企業のソーシャルメディア上のコミュニケーションがもっと豊かになるのかもしれない。
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