令和女子の解体新書 #01
理解不能なものこそ、新時代をつくる。ブームを巻き起こす「ギャルマインド」の正体
「コミュ力」さえあれば、誰だって表舞台に立てる。
スマートフォンは、自分が表舞台に立つためのツールとしても進化した。SNSを通して、誰もが自分の存在を発信できる。スターになれる媒体はテレビや雑誌などのマスメディアだけじゃない。かつて雑誌で、街角スナップで読者モデルとしてデビューするというスター街道ができたが、今では誰かにスカウトされなくても、自分から発信して自力で閲覧者数を増やせるようになった。YouTube、TikTok、SHOWROOM、snapchat。誰だって、自力で表舞台に立ち個性を発揮できるし、フォロアー数や、いいね数、閲覧数を見ることでその結果も把握できる。
好きなものを極めた彼女たちはいつしか、新しいメディアを通して自己表現する技を身につけ、コミュ力をどんどん高めていった。Plan、Do、Seeを自分でまわせる、いわば若きマーケーターとも言える発信力を持つのが今のギャル。彼女たちは多様なジャンルで「オタク」的に自分の好きな趣味・嗜好を極め、YouTuberやインスタグラマーとして花開いていった。
大人都合のマーケティングはバレる。
ここまで読んでいただき、ブームの火付け役となり得るギャルマインドが多様化し、各自がそれぞれの趣味・嗜好を極めて仲間を得たことで、かつてオタクと呼ばれた価値観もがメジャーとなり次々と新しいカルチャーが生まれたことがわかるだろう。
かつて男性向けだった女性アイドルを、女性目線で愛して追求するアイドルオタクの女子たち。既存の「カワイイ」を受け入れず、自分らしさを追求したジェンダーレスファッションや、ジェンダーレスな生き方。彼女たちの判断基準は、ハイブランドでも値段でもなく、「本当に自分が好きと思えるかどうか」。
たとえ他人には理解されなくても、自分が思う「好き」をあきらめない。そんな彼女たちは空気が読めるコミュ力の高さを持ちながら、ちゃんと自分の意思を貫いている。
ギャルマインドを持った今時の令和女子を動かすには、「きっと女子ってこういうものが好きだろう」という大人都合のマーケティングは通用しない。彼女たちのギャルマインドを理解し、細やかにそのインサイトやメディアとの向き合い方を知ることで、彼女たちといっしょに新たな市場をつくっていく姿勢や心がけが大事になるだろう。
この連載では、電通ギャルラボのメンバーが「ギャルマインド」にフォーカスしながら、独自の視点で、今起きている事象や注目すべき兆しについて、「マインド・価値観」「消費トレンド」「カルチャー」「社会課題」の4つの切り口で幅広くご紹介していく。
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