ヒット商品・トレンドから読み解く、インサイト最前線 #01
「令和」新年号キャンペーンが盛り上がりに欠けてしまった理由が、「年越し」との比較で見えてきた
「元号越し」に感じるインサイトを捉えきれていない
5月1日、元号が平成から令和に変わり、日本中が温かで穏やかなお祝いムードに包まれました。皆さんは、どのような「元号越し」を過ごされましたか? 中には、人生で初めての瞬間をどう過ごして良いか分からず、「元号越し蕎麦」を食べた方もいらっしゃるかもしれませんね。
新元号を迎えて、4月からポツポツと行われていた令和キャンペーンも本格的に始まりました。しかし、どこか盛り上がりに欠け、多くの担当者が「なんで?」と疑問を抱かれているのではないでしょうか。
令和キャンペーンを俯瞰して見ると、その大半が「新年あけましておめでとう!」的な年越しのノリと一緒です。一人の消費者として、「そうだけどそうじゃないんだよな~感」が拭えません。「そうそう!」と共感できないと言い換えても良いかもしれません。
それは「元号越し」に感じるインサイト(人を動かす隠れた心理)を捉え切れていないのが原因ではないでしょうか。
「元号越し」「年越し」の定量調査を実施
インサイトを探るため、ホットリンクさんが提供されている「クチコミ@係長」 を使って、「元号越し」に関するソーシャルデータに目を通しました。加えて、傾向を比較するために「年越し」に関するソーシャルデータにも目を通しました。
「元号越し」のトレンドは以下のように推移しています。
一方で「年越し」のトレンドは以下のように推移しています。
【参考】
「元号越し」データ:19年4月23日~19年5月14日。3,839件の当該データ。
「年越し」データ:18年12月24日~19年1月14日。件数が多いため3万件を無作為抽出。また、「あけおめ」だけのTweetを除外するため、除外ワードとして「おめ」を指定、抽出する際に除外。
「元号越し」データ:19年4月23日~19年5月14日。3,839件の当該データ。
「年越し」データ:18年12月24日~19年1月14日。件数が多いため3万件を無作為抽出。また、「あけおめ」だけのTweetを除外するため、除外ワードとして「おめ」を指定、抽出する際に除外。
どちらも、ほぼ同じような傾向を示し、極めて似た性質を持ったキーワードだと分かります。「元号越し」は4月27日に少しだけトレンドが上がっていますが、それは次のツイートによるものです。
約4700回のリツート、約6000件のいいねを獲得しています。みんなも4月30日の大晦日感に「そうそう!」と思っていたからこそ、ここまでシェアされたのでしょう。
加えてローデータを取得し、統計解析向けのR言語を使ってテキストマイニングを行いました。すると、「元号越し」と「年越し」の違った傾向が見えてきました。
「元号越し」データの中には、「改めて平成に感謝」「令和も良い時代に」など、ソーシャル(社会)に想いを馳せたコメントの傾向が見受けられました。”平和”や”戦争”というキーワードの出現頻度は、それぞれ「年越し」データの約6倍もありました。
なかには昭和に比べて戦争の無い平和な時代だった平成に対する感謝もあって、これは年越しには見られないツイートだと思います。
一方で「年越し」データは、「皆に感謝!」「カウントダウン楽しかった」など自分や周囲への感謝と、「年に1度のイベントを楽しまなきゃ損」とも取れるコメントの2つの傾向が見受けられました。
「年越し」データにおける”ライブ”というキーワードの出現頻度は、「元号越し」データの約6倍もありました。カウントダウンライブや年越しライブなどテレビで見て賛否の感想を述べる人、参加して“ウェーイ”な人、主催して“ヒャッホ~”な人の感想が乱れ飛んでいました。