令和女子の解体新書 #02

消えた失恋ソング。令和の若者たちが「失恋離れ」している理由

なぜ”失恋”しない?スマホが変えた「失恋期間」


 私たちは「失恋はする、けれどその期間がかつてに比べて短くなった」というのが答えだと考えます。失恋したと感じて落ち込む期間、つまり「失恋期間」が短くなったのです。

 その失恋期間を短くしたのは、スマートフォンが変えた「3つの距離」にあります。それらを紐解いていきましょう。

1つ目の距離は、「新たな出会い」との距離。

 スマホによって、人間関係は大きく変わりました。LINE、Twitter、InstagramあらゆるSNSでつながっています。ひいてはマッチングアプリを使えば新たな出会いを見つけることもできます。失恋したとしても、すぐに新しい出会いを見つけに行くことのできる環境となっています。

 さらに、ただ新しい出会いを見つけるだけでなく、”自分と価値観が合う人”との出会いを見つけるのも簡単になっています。SNSを見れば、ある程度その人の趣味や共通の友達・話題がわかるため、自分と近しい価値観を持った人を見つけることができるからです。初めから気が合う人を見つけられるので、より良い新たな出会いを見つけるのが容易です。



2つ目は「噂」との距離。

 SNS普及前、「失恋した」という噂は、周りの仲良しの友人からあまり親しくない友人にまでなかなか伝わることはなかったでしょう。しかし、SNSがあるから、あまり親しくない友人にも失恋が伝わります。

 今まで彼氏とのツーショットだったプロフィール画像が変わっていたり、投稿からツーショットが全て消えていたり、そんな小さな変化にも若者は敏感。「失恋」という噂の距離感が変わることによって、「今恋人がいないのだ」と周りに認識してもらえるようになり、今までよりも簡単に人と出会える、よりアプローチされる可能性が増える、そんな変化が起きています。

3つ目は、「過去」との距離。

 スマートフォンを持ったことにより、1日に若者が受け取る情報量は5年前と比べても膨大な量になっているといわれています。受け取る情報量が増えたことで、次々に話題が切り替わり、1つの話題・感情の消費時間が短くなっているといえます。

 つまり、同じ時間の長さだとしても「過去」との距離が遠くなっているのです。10年前、失恋したことを友だちにメールで相談しながら落ち込んでいたあの時間が、スマートフォンの登場によって短くなっているのだと考えられます。

 失恋したとしても本人にとっての「失恋期間」が短くなっているのです。

 もちろん失恋で大きく落ち込む人もいると思います。しかし、その期間が以前に比べると減ったことで、何度も同じ失恋ソングを聴きこむ人が減り、失恋ソングへの共感が以前よりも薄れてしまったのだと考えられます。

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