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SNS・消費行動から見えてくる20代女子のココロ #01

InstagramやYouTubeが「カワイイ」を小宇宙化した、私たちはカスタマイズされた未来を夢見る

人それぞれの「カワイイ」という感覚

 会社に来ていたインターン生が興味深い話を聞かせてくれた。卒業論文のために「カワイイ」についての研究を行っているそうなのだが、大学生や高校生に「カワイイに対するイメージ」や「カワイイと思う芸能人」を聞いたら、全くもってバラバラだったそうなのだ。

 清楚な女優を「カワイイ」として挙げる人もいれば、韓国系のアーティストを憧れとして描く人もいる。若い女の子だと“ハラジュクカワイイ”を崇める子もいるだろう。数多くのサンプルを集めたが、ほぼ同じ人の名前が挙がってくることはなかったのだという。

 私が中学生の頃、世の中はエビちゃん(蛯原友里)ブームで、社会的カーストが高い女子はみんなエビちゃんになりたいと思っていた気がする。私が高校生のときは、森ガールが流行して、私もAラインのワンピースをしばしば着ていた。憧れは宮崎あおい。なんとなく、ファッションにもその時々で、時代を渦巻くマジョリティが存在していたことを記憶している。

 一方で、マジョリティが全てかというとそうではない。昔から、ある程度複数のクラスタは存在していたように思う。

 私の母は元百貨店アパレルの店長で、バブル時代をうっとりと思い出してこう話したことがある。「昔は、読んでいる雑誌が”女の子の派閥”だったわね」。2017年、Zipperという青文字系雑誌が休刊した際には、三戸なつめをはじめとするモデルが「個性的な格好をして地元で1人浮いててもジッパーがあったから自分に自信が持てたんだ」と語った。

 数年前まで、雑誌が存在することで、ファッションの好みはカテゴリ化され、それによってその時代の女の子のアイデンティティが肯定されていたのではないかと思う。ある程度、クラスタは雑誌に紐付いていたのではないかと思うのだ。
 
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 しかし、現代は数多くの雑誌が休刊しているように、時代をカテゴリ化し個性を肯定し提案していく役割を雑誌は徐々に終えていっている。そして、そのかわりに台頭しているのは、耳がタコになるほど聞いてきただろう、ソーシャルメディアだ。

 私しかり、周りの友人は「あのブランドの新作、○○ちゃんがInstagramにアップしてた」「私はあのYouTuberのメイクを参考にしている」なんてことを常に話題にしている。

 無数に存在する、個人紐づくソーシャルメディアは、ファッションにおける女の子のクラスタをさらに小宇宙化した。そしてそれによって、それぞれのアカウントに紐づく私たちの「カワイイ」はさらに小単位でカテゴリ分けされるようになっていっているのだ。
 

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