令和女子の解体新書 #07
“投げ銭”だけじゃない。令和の若者が「一般人のライブ配信」にハマる理由
「アイドルのたまごの応援」だけじゃない魅力を追う
いま一般人が動画配信できるライブ配信アプリサービスが増えています。気軽にライブ配信できる環境が整い、芸能人やモデルがinstagramのライブ配信「インスタライブ」などを行うことも珍しくなくなりましたが、そうした有名人ではなく、いわゆる普通の子の利用が増加しています。
有名どころでは、ツイキャス、SHOWROOM、LINE LIVEなど。他にも、一時期「カップル動画」(カップルがラブラブな様子を音楽に載せて動画編集したもの)でティーンの心をわしづかみにしたMixChannelも今やライブ配信アプリとして新しいサービスを展開しています。
おそらく多くの方が持つライブ配信のイメージは、「アイドルのたまご」的なかわいい女の子ライバー(配信者)の配信に対して、「投げ銭」と呼ばれる有料アイテムやギフトをリスナー(視聴者)が課金することで応援して自分の存在に気づいてもらう、といった感じでしょうか。
ただ、このように頻繁に課金をしているリスナーの多くは年齢層の高い男性が大多数と言われています。
一方で、頻繁に課金するほどの余裕のない10~20代前半の若者たちも、一般人のライブ配信にはまっています。そこには、アイドルのたまごを応援できる以外の魅力があるはずです。
今回は、実際に私自身でライブ配信サービスをしばらく利用してみることで分かった、若者が一般人のライブ配信というスタイルにはまる魅力をご紹介します。
ライブ配信アプリをを体験してみた
私が利用してみたのは、顔を見せずに声だけで気軽に配信ができる、韓国で生まれたSPOONというラジオ型のライブ配信サービスです。
こちらを
ライブ配信は基本、配信者が話をして、それに対してリスナーがテキストでコメントし、そのコメントを配信者が読んで、さらに話を膨らませていく、というスタイルでコミュニケーションが行われます。配信専門の人、視聴専門の人、どちらもするという人など様々です。
「いらっしゃい〇〇さん。よかったらゆっくりしてってね。」
という、ライブ配信特有の配信枠への入室時の挨拶で歓迎されます。こっそり覗きに行っただけだったのに、いきなり隣に座って名前を呼んで笑いかけてくれたような感覚を覚えます。
入室してくる人の中には、「初見(しょけん)」と呼ばれる初めて配信を聞きに来た人もいれば、すでにファンとして常連で聞きに来ている「ファン」もいます。
その配信者の声が好きだから、話が面白いから、自分が考えた創作セリフを読んでくれるからなど理由は様々です。入室も退出も自由で、飽きたら出て行ってもいいし、気に入ればずっと居てもいいよという空間です。
そうしたファンに対して配信者は「いつも来てくれてありがとう」「こないだのアレ、どうなった?」とまるで友だちのように話し掛けます。配信者の中には、過去に来訪してくれた人とどんな会話をしたのかを几帳面に表にまとめ、忘れないように管理している子もいました。ファンはそんな風に覚えていてくれたことを喜びます。
配信者は、三角形のピラミッドのトップにあたるスターライバー的な一度に100~1000人以上の人が集まるような配信枠もあるのですが、あまりに人気のライバーだと、数えきれないほどの人が入室してくるので、挨拶を延々と繰り返すだけで、ほとんど話をできずに終わってしまう場合もあります。
それより、もっと少ない10~20人程度の人数が集まる配信枠で行われているコミュニケーションがとても興味深いものでした。