令和女子の解体新書 #08

カミングアウトすると、むしろ人気に? 若い世代ほどオタクに抵抗がない理由

 

ヒットの陰にオタクあり?オタクの口コミは絶大な信頼。


 マーケティング的な観点でもオタクの重要性は、日に日に大きなものになっています。

 オタクの数が増えたことによって、さまざまなジャンルでオタクの消費額が拡大していることはもちろん、単純なお客さまとしてだけではなく、SNSを通して間接的に人々に影響を与える広告的な存在価値が出てきているのです。

 なぜなら、オタクは言わば、そのジャンルの専門家。

 その口コミの信頼性の高さは、ちょっとした著名人以上です。ジャンルによっては、有名タレントを使った広告を何度も打つよりも、熱量とユーモアを持った顔も知らないオタクの一度の投稿の方が、人々の消費行動を喚起することもあります。
 
 最近では、ヒットする映画やドラマ、コンテンツのほとんどはオタクの口コミから生まれます。逆に言えば、どれだけ素敵な広告を打ってもオタクが否定的な口コミを広めてしまうと、あまりヒットせずに終わってしまうケースも起こります。

参考:『カメラを止めるな!』だけじゃない!口コミで爆発ヒット&上映館拡大した映画

 また、美容業界でもオタクの影響力は顕著に表れています。

 昔は容姿が美しい人やモテている人、憧れられている人の口コミこそ絶大でしたが、SNSで美容垢というジャンルがさかえたことで、顔も体型もわからないけど「とにかく美容の知識と執着がすごい人」、いわゆる美容オタクの発言力がとても強くなりました。

 これによって、今までは人目に触れなかったような、ニッチな商品が大ヒットしています。例えば、美容感度が高い人ならば知らない人はいない「the ordinary」。



 日本では発売されていないカナダのブランドなのですが、美容オタクが絶賛したのをきっかけに日本でも広まっていき、今や美容オタクでもない普通の女性や学生まで、わざわざ個人輸入して購入しているほどのヒット商品になっています。

参考:美容オタクがSNSで広めたthe ordinaryの血みどろピーリング

 オタクの声がとても大きいSNS社会では、広告戦略でも、そのジャンルのオタクの心を掴むことが大切だと思います。
 

オタクを味方につけるが勝ち。インフルエンサーはキラキラ層だけではない


 インフルエンサーと聞くと、キラキラした読者モデルのような若者たちを想像する人が多いと思いますが、今回紹介したように今やオタクもインフルエンサーの一部だと言えます。
 
icosha /Shutterstock.com

 オタクが一般化し、SNSで影響力を持ちつつある今、オタクはコアでマイノリティな存在という昔のイメージにとらわれて軽視することは非常にもったいないことです。

 そのジャンルについて詳しい人のインサイトを深掘りしたり、そのジャンルの魅力や奥深さを理解しようと勉強したり、視座を高めてオタクが喜び、味方になってくれるようなアイデアを出せたなら、予算があまりなくても世間に届くものになる可能性は充分にあります。

 皆さんもオタクの心理を理解するために、まずは何かしらのオタクになってみるのもいいのではないでしょうか。
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