行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #01

炎上が多発している原因は、マジックミラー錯覚と内集団バイアスにある

 

炎上の大半は、「マジックミラー錯覚」にある


 そして筆者は、炎上の大半は後者の「マジックミラー錯覚」が原因であると考えます。最近の例で言えば、ナインティナインの岡村さんがラジオで「コロナが明けたら可愛い人が風俗嬢やります」と発言し炎上しました。

 私は「ナインティナインのオールナイトニッポン」の20年以上のヘビーリスナーで、このときもリアルタイムで聞いていました。発言のキッカケは視聴者からの呼びかけへの返答であり、まさに「聞いているリスナーに向けて発言したら、聞いていないリスナーにも届いた」という点でマジックミラー錯覚に陥っていたと感じました。



 私の勤めるJX通信社では、ソーシャル上で話題になっている情報を収集し、メディアだけでなく様々な企業に対して通信社として配信しています。その中で災害、事件、事故の他にいわゆる「バカッター投稿」も目にします。内輪ノリで仲間のみであれば許されるバカ騒ぎの瞬間が投稿され、本当にひどいものです。SNSに投稿された瞬間、カギ付き投稿でもない限り、誰もがそれらの情報に容易にアクセスできることを忘れているのです。

 おそらく冒頭で紹介したコンビニエンスストアについての投稿も、ツイートした本人は会ったこともない松本という人間にSNS炎上の題材にされているとは夢にも思わないでしょう。

 したがって、炎上を防ぐには「自分の発言は目の前の人しか聞いていなくても、全世界に知れ渡る可能性が十分にある」と自覚する必要があります。つまり、有り体に言ってしまえば「発言に責任を持つ」しかありません。それが無理なら、不要に口を開くべきでは無いのです。

 もっとも、政治家ですら、「私はすごく物わかりがいい。すぐ忖度する」「復興以上に大事なのは高橋(比奈子衆議院議員)さんだ」「アルツハイマーの人でも分かる」など、マジックミラー錯覚に陥った発言を口にするのです。いわんや、アルバイトスタッフをや。

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