行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #01

炎上が多発している原因は、マジックミラー錯覚と内集団バイアスにある

 

マーケターは「Alien」を大切にすべき


 あるいは内集団が先鋭化してしまうと、少数の内集団だけで通用する常識に甘えてしまい、より人数の多い内集団から非難・批判が殺到する大炎上にいたるケースも起こり得ます。週刊文春で報道されましたが、編集者・箕輪厚介さんが会員限定で配信したライブ動画が外部に流出し、そこでの発言について本人や幻冬舎が謝罪したのは最たる例です。今月8日には箕輪さんからテレビ活動の自粛、ニューズピックスブック編集長の退任が発表されました。

 常識や価値観が相容れない内集団は必ず存在します。全てを気にしたら何もできないとマーケターの方は思われるでしょう。それはおっしゃる通りですが、配慮や対話はできるはずです。加えて、あえて強く言えば、「誰が傷付くかなんて分からない」と感じている時点で、少なくともマーケターと名乗らない方が良いのではないでしょうか。

 炎上を防ぐには、マーケターは会社という内集団のみに染まらず、様々な内集団に所属して複数の常識を兼ね備えることが欠かせません。中でも、「Alien(性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない)」を大切にすべきだと筆者は考えています。自らの内集団バイアスを破壊するためには、内集団から飛び出して、自分の中に今までに無い異質を取り入れるしか方法がないからです。

 新しい上司がやってきて、見たことも無い手法でマーケティングを革新するドラマのような話は現実になく、自らのバイアスは自らで壊すしかありません。

 マーケターとして学び続け、Alienを取り入れ続けることが、もっとも炎上を起こさない要素になるでしょう。

 <今回の参考文献>
「悪意の心理学(岡本真一郎)」
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/07/102386.html
「良い炎上と悪い炎上の違いとは? 炎上することを怖がるな!(田端大学 YouTube支店)」
https://www.youtube.com/watch?v=koScSgzhHFo
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