行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #03
「人はなぜ、その商品を好きになるのか?」行動経済学でメカニズムを解き明かす
「なぜ好きなのか」言語化できますか?
自分が気に入っているブランドについて「なぜ、それが好きなんですか?」と問われても、うまく言語化できずに「なんとなく」と答えてしまう機会が皆さんにはありませんか。
例えば、最近の筆者のお気に入りはNiziUのプロデューサーであるJ.Y.Parkさんです。とにかく褒め上手で、「世界最高の上司」と称されるのも頷けます。嫁が手間をかけた料理をつくってくれたら、彼を見習って「すごく美味しいです、キューブあげます」と口にします。
その他のお気に入りは、ゼスプリキウイのテレビCMです。スーパーに行ってゼスプリキウイを見つけたら、ついつい「キウイを食べようよ~ヘルシーは好きなことを楽しみながら~」と口ずさんでしまいます。その勢いで5~6個買ってしまうので「そんな量、食べられないでしょ」と嫁からツッコミをもらう始末です。
いずれも嫁からは「気に入っているみたいだけど、どこが好きなの?」と聞かれるのですが、普段から物ごとを深く考えずにボーッと生きているため、返事に窮します。そもそも「好き」に理由なんて、必要なのでしょうか。
ただ、それではマーケターとしてマズいな…と考え、この原稿を書く数日前に言語化に取り組んでみたのです。
さまざまな言葉を体内から吐き出すと、J.Y.ParkさんやゼスプリキウイのCMに私が「empathy」を抱いているから好きなのではないか、と仮説を立てました。「empathy」とは共感、共鳴、感情移入という意味です。つまり、共感を抱いているから好意的な感情を抱き、結果的に好きになっていたのではないかと考えたのです。
そもそも、人は理屈だけでは動きません。頭では分かっても、心が納得しないからです。勘定と感情が合致して、ようやく行動や習慣が変わります。そこで感情面からのアプローチとして、以前から「共感」がマーケティング界隈でも注目されてきたと筆者は認識しています。
では「共感」とは具体的にはどういうことなのか。もう少し深堀りしてみましょう。