行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #03
「人はなぜ、その商品を好きになるのか?」行動経済学でメカニズムを解き明かす
「Fearless Girl」「P&G パンテーン」は、なぜ共感されたのか
そう考えると、2017年にカンヌライオンズでグランプリを受賞した「Fearless Girl」は、自分の境遇を投影するのに適したからこそ、多くの注目を集めたと考えられます。多くの女性は像の前で同じように手を腰にあてていましたね。
他にも、2019年のNe Plus U (ネプラス・ユー)でも紹介されていたP&G パンテーンは「あなたらしい髪の美しさを通して、すべての人の前向きな一歩をサポートする」ことをブランドフィロソフィーに掲げ、「この髪どうしてダメですか?」「令和の就活ヘアをもっと自由に」などのキャンペーンを実施されています。各メディアに大々的に取り上げられ、ウネリを感じるほどの大きな反響があったのは皆さんご存知の通りでしょう。
キャンペーンが大きな反響を得たのも、高校生や就活生の境遇に対する怒り、悲しみ、諦めを投影するのに適していたからでしょう。恐らくはパンテーンへの投影を通じて「自由」を見たのではないかと推察します。
ちなみに、投影がダメで、共感が良いといった話の類では無い点に留意してください。むしろキレイゴトで語られやすいパーパスブランディングを、ブランドへの投影という観点で考えると「企業がパーパス(存在意義)を問われる理由」が分かる気もしています。
私にとって「希望を託せる」「前向きな影響を受ける」ブランドかどうかが大事であり、だからこそブランドは消費者に対するパーパスを証明するために「旗」を掲げるのです。