マーケティングは、どこまで人間を理解できるのか #04
伝統的な消費者行動モデルの呪縛を解くために、マーケターは「注意」の見方を変えよう
2020/10/01
「注意」の2つのメカニズム
では、マーケターは、消費者の「注意」と、どう付き合えばいいのでしょうか。いつも通り、まずは脳内で起きていることを概観して、そこから対策を検討しましょう。
まず、注意には「ボトムアップ型注意」と「トップダウン型注意」の2つのメカニズムが存在すると考えられています。
大雑把に説明すると、ボトムとは外の環境から入力を受ける側、トップというのが脳の上位中枢を指します。つまり、ボトムアップ型注意とは、外から入ってくる刺激によって駆動される注意です。一方のトップダウン型注意とは、消費者自身が自ら能動的に向ける注意です。
大声で歌いながら近づいてくる、ピンク色のスーツを来た奇抜なおじさんに目を奪われたら、それはおそらくボトムアップ型の注意によるもので、一方で、人ごみに紛れている知り合いを一生懸命に探し出そうとすると、トップダウン型の注意が働きそうです。
次の図のAの場合、ピンクのLは他の刺激からポップアウトしており、自然とそこに注意が向きます。脳の外から入ってくる刺激に駆動されるので、ボトムアップ型の注意です。
一方、BのほうでピンクのLを探そうとすると、色や形を組み合わせて、能動的に探索しないと見つけられません。これがトップダウン型の注意です。
次のCのグラフにあるように、ボトムアップ型は、全体の刺激の数が増えても見つけるまでの時間は変わらず、あっという間に見つかります。
一方、トップダウン型は、刺激の数が増すにつれて、見つかるまでの時間も増えていきます。あんまりたくさんあると、途中で嫌になって探索をやめてしまうこともありそうですね。