行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #04
行動経済学とマーケティングの知識を駆使して、消費者の「好き」という感情を分解してみた
リピート回数と満足度の因果関係
”飽きる”とは「商品に対する満足度が低くなった状況」ですが、では満足度が高ければ、飽きることも無いのでしょうか。満足しているけど「今はいいかな」と”理由にならない理由”で忌避される可能性も十分考えられます。果たして、顧客満足度とリピート回数に、因果(相関)はあるのでしょうか。
松本の疑問に、小野教授は「追加でもう1品買う、グレードの上がった商品を買うなどリピート形態は様々で、単価に跳ね返るか、頻度に影響を与えるか、業種業態や商品特性によって異なるはず」と答えます。その上で、サービスを体験した直後に満足度を問うても、その日の天候や気分に左右されて、リピート回数との相関は、あまり見られないと、教えてくれます。先に紹介したロイヤルティ分類でも、心と行動が必ずしも一致しない事例は、あると学んだ通りです。
ただし、累積顧客満足度という「過去6カ月の経験を振り返っての満足度」であれば、撹乱要因が排除されて、”好き”が売上に影響を与えるか見えてくるようです。実際、ある飲食店チェーンの既存店売上高対前年比と、そのチェーン店に対する累積顧客満足度は高い相関があると、複数の事例をもって説明してくれました。特に飲食店は顕著だそうです。
その時点の累積顧客満足度が、次回の購買に影響を与えると考えれば、(時間のラグは業種によって異なるでしょうが)売上の落ち込みを知るのに「累積顧客満足度」が先行指標として大いに役立つのではないかと筆者は考えました。