SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #21

“モテ”から“自分のごきげん”へ。女性誌特集の変化から見えてきた女性ココロ

 

“自分のごきげん”が大切という価値観は見逃せない


 コロナによって、さまざまな“当たり前”が崩れ去る時代だ。さらに、これまでは常識とされていた偏見や差別が問題視される時代でもある。それは、つまり“他人の常識”からの解放であり、”他人の思想”から解放されることでもあると思う。

 だからこそ、「こういう服を着ていたら、こういう人だ」とか、決めつけるような表現をすると批判の的になる。そうやって、”決めつけ”が消えた先に、「じゃあ、あなたはどれが好き?」という問いかけが待っている。先述の雑誌のメッセージ通り、”自分軸”が大事な時代なのである。

 「モテ」「愛され」「女らしく」。女性誌で度々踊ったそれらの言葉は、少しずつ減っているのかもしれない。「(シルエットが)細くない」「女らしくない」という、一般的な基準から外れるのだ。他人からの好意を受け取れるかどうかを語るのは今っぽくないし、そもそも他人がどう思うかよりも、今は自分がどう感じるかのほうが大事なのである。

 「誰に愛されたい?」
 「自分に愛されたい」

 「毎日は、どうあってほしい?」
 「(周りの人からどう見られるかよりも)自分が心地よいと感じたい」

 多くの人がそう感じる時代なのではないだろうか。



 コロナの影響で、時代の雰囲気はかつてないほどに不安定だ。先週まで深刻な状況を嘆いていたのに、今週になると旅行などに行く人が増えて、開放的な雰囲気になっていたりする。そういった変化の連続に疲れて、11月はリラックス系の装いが提案されている面もあるだろう。

 しかし、その不安定さには影響されず、この“自分中心”の考え方は、本質として浸透していくだろうと私は考える。価値観が不安定な時代に、誰かのことを気にしてもしょうがない。他人に会う機会が減っているのに、他人を気にしていてもしょうがない。多様性が求められる現代に、他人と同じことを求めていてもしょうがない。複数の価値観によって、視点が“自分”に向かっていくのを感じるのである。

 すでに、それをキャッチアップしている女性誌は素晴らしいと思う。そして、これらの表現は、どんどん広がっていくだろう。

 決めつけずに。偏見を外して。自分軸を大切にして。その人らしさをエンパワーメントする。私もひとりのライターとして、マーケターとして、この時代にそぐわない表現をしないよう、気をつけたいと思う。
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