行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #05
「マスゴミ」という蔑称まで浸透。なぜ人はメディアの報道に偏りを感じるのか
「認知の歪み」に気付けるか?
敵対的メディア認知の話をすると、決まって「私は歪んでいない!真っ直ぐだ!」と反発される方が大勢います。「偏り」という言葉がネガティブに聞こえているようですが、即座に物事を判断できるヒューリスティクスな思考も偏りのひとつですから、全てが悪とは言い切れません。むしろ「偏り」とは人間らしさ、いや人間そのものとすら言えます。
私は偏見が少ないと主張する思考を「バイアスの盲点」と表現します。「大声を出すな!と大声で注意する人」や、「人を批判する奴は許さない!と批判する人」を思い浮かべると良いかもしれません。言動と行動が相反する人たちは「バイアスの盲点」に囚われているのです。
ファクトはひとつですが、オピニオンはいくつあっても良いでしょう。「バイアスの盲点」に囚われてしまうと、オピニオンが違うだけで「あの人はウソを言っている」と批判しがちです。また、オピニオンを言う側も、それがあたかもファクトのように振る舞うので、誤解を招きがちです。
余談ですが、ファクトとオピニオンの区分は報道に限らず、あらゆる分野で必要な“スキル”です。毎日のように繰り返して「ファクトか、オピニオンか」を分けて考えると、自分自身がいかに偏見と思い込みに囚われていたかを思い知らされるので、良い訓練にもなります。