マーケティングは、どこまで人間を理解できるのか #05

マーケターは、人の根源的欲求を見落としていないか

 

人間に共通の基本設計


 当然ながら、現在地球上に住んでいるすべての人間は、ヒト(Homo sapiens)という同じひとつの生物種に属しています。

 イヌが、どんなに多様な犬種があろうとも、「イヌ」の特徴を持っているのと同様に、人間にも「ヒト」という一般的な特徴があります。

 基本的に同じ解剖学的構造を持ち、同じような生理学的過程によって動きます。心の働きも同様に、「ヒト」に共通した一般的なパターンのようなものがあると考えられています。



 重要なのは、その一般的な特徴は、コンピューターやロボットのように誰かが何かの目的のために設計したわけではなく、適応的進化によって徐々に自然に形づくられてきたという点です。

 その過程で働く要因は「淘汰圧(とうたあつ)」と呼ばれ、一般的には、生存率や繁殖率が高まることにつながる行動傾向と考えられるでしょう。具体的には、捕食者やその他の身の危険を回避する、効率よく食物にありつく、適切な配偶者を選ぶ、配偶者獲得競争でライバルの上をいく、親族を身内びいきする、など多岐にわたります。 

 これらの課題に対処するために、遺伝的に組み込まれた「適応的な心」が、消費行動を含む日常生活のあちこちで、ほぼ自動的に作動しています。

 なんだか、身も蓋もないような話ですが、嘆くことも憤ることもありません。受け入れて、今できることを考えましょう。

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