SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #23

すぐに消えるトレンドに疲弊するのはやめよう。「マイノリティデザイン」澤田智洋氏インタビュー

 

マイノリティデザインは「弱者救済」ではない


 全員が這ってプレイする「イモムシラグビー」や、ハンドソープで手がツルツルに滑る状態でプレイする「ハンドソープボール」。いずれもユニークな「ゆるスポーツ」のアイデアの起点は、”自分のマイノリティ性”だったという。
 
「ゆるスポーツ」イモムシラグビー
 
「ゆるスポーツ」ハンドソープボール

 「マイノリティデザインの話をすると、『弱者救済ですか?』と聞かれるのですが、そうではなくて、『自分の中にこそあるマイノリティ性を仕事にどう生かすか』を大切にしています。誰かの弱さを大したことではないと思わずに重要なテーマとして扱う。極端な話、平均値からずれているものは、すべてマイノリティ性だと言えると思うんですよ。私は運動が苦手でスポーツでは平均よりも役に立てない。『ゆるスポーツ』も『私はスポーツマイノリティである』と言い出したところから始まったんです。そうしたら思ったよりも多くの人が共感してくれました。実は、スポーツ庁が出しているスポーツ実施率という調査によると、日本人の46~47%が日常的にスポーツをしていません。約2人に1人がスポーツマイノリティだったんです」

 ビジネスの現場ではよく”規模”の話が飛び交う。「市場が小さすぎませんか」、「ターゲットを絞り過ぎではないですか」といった具合に。売上をあげるために、KPIを達成するために、最初に規模を考える。しかし、マイノリティデザインは真逆の考え方である。まずは、自分や誰かひとりの弱さにとことん向き合うのだ。

 「『ゆるスポーツ』は、私のマイノリティ性という超ニッチでパーソナルでミクロなところからはじめていますが、結局46%の人たちがスポーツを苦手だと感じていた。要は小さく始めたつもりが、広大な話につながっていったんです。でも、それは『ゆるスポーツ』に限ったことではないと思うんです。自分や誰かの弱さに向き合うと、そこからどんどん広がっていく。スモール(small)の中には、オール(all )が入っているという考え方です」

 澤田さんは、誰かの弱さを絶対に「課題」とは呼ばない。それにも理由がある。

 「企画を考えるときも、たとえば『こういう気候が課題で…』みたいなスタートでは、マクロすぎてピンとこないみたいなシーンがあるじゃないですか。ただ、その課題を紐解いていくと、ひとりの弱さに行き着くと思うんですよね。マイノリティデザインのおもしろさはそこにあり、『課題と言わないで弱さと言ってみよう』ということなんです。課題という言葉で議論すると、当事者たちは『課題と言うほど大げさじゃないな』と思ってしまう。ですが、弱さと言うと、大きな物語や文脈だけではなくて、小さな文脈や物語をみんなで受け入れる空気感ができてくるから、宝物みたいな弱さがぽろっとでてくるんです」

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