マーケティングは、どこまで人間を理解できるのか #09

一度に処理できる情報は4つまで。短期記憶の”容量”からマーケティングを考えよう

 

情報の「まとまり」を意識しよう


 研究の世界では厳密な容量について今でも延々と議論が続いていますが、実務では4つまで(できれば3つ以内)という数字に留意しておくことを強くお勧めします。

 経験上、この数字は本当にいろいろな場面で汎用的に役に立ちます。当然ですが、店頭での商品の選択肢だけの話しではありません。

 いずれにしても、この数字は「まとまり」の数であるということに注意が必要です。静止画を例にすると、たとえば下のような図では、恐らく17個の三角形というよりは、3つのまとまりとして処理されるでしょう。
 

 さらにこの図は、あえて意識して2つに見ようとすると、なんとなくできてしまうのも興味深いですね。真ん中の三角形を右側のグループに入れると右向きに見えるし、左側に入れると左下向きに見える気がします。

 対象物がグループ化されてまとまりとして知覚される傾向は、ゲシュタルトの法則と呼ばれ、まとまりに見えやすくなるための要因もよく知られています。

 検索するとたくさん出てくるので、ここではあまり詳しくは述べませんが、以下のような要因が主な例として挙げられます。
 

 距離的に近いもの(近接)や見た目が似ているもの(類同)はグループ化されやすいので、左端は縦3つ、その隣は横に3つのまとまりに見えやすいです。

 また、ある図形パターンに近いが不完全というときには自動的に完成させてひとまとめにされやすく(閉合)、連続しているものもまとめられやすいです。右端の図では、斜めの直線と円弧の2本の線が交差していると認識されやすく、4本の線があるようには見えないですし、折れ曲がった2つの線が向かい合っているようにも見えないですね。

 ウェブサイトやパッケージなどの開発では、写真や文字の配置、色や形、字体(フォント)などをうまく駆使して、上記の法則性なども考慮しながら、まとまりを3~4つにおさえることをぜひ試みてください。

 また、まとまりをつくることの重要性は、もちろん静止画だけにとどまりません。動画でも構成上のセグメントの数や登場人物、機能やRTBなど、各要素において常にチャンキングしてまとまりの数を抑えることを意識しておきたいです。

 コンセプトやスローガンなどの意味的な情報でも、上位概念や共通項などを用いてまとまりを作ることで、うまくまとまりの数をコントロールしたいところです。「3密」とか「御三家」とかは3つのものをさらにひとつのコンセプトにまとめてしまって、処理資源の節約に貢献していそうですね。

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