行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #10
社会人になっても学び続ける「習慣」は、どうすればできる? 行動経済学から解明した2つの方法
その1:ディドロ効果で気持ちに変化を促す
気合と根性で頑張ることも大事ですが、長続きしませんし、その他への影響が露わに出るかもしれません。筆者の場合、気合と根性モードのスイッチが入ると、結構な具合で机の上が散らかります。ひとつの物事に集中する分、その他が疎かになるのです。日常生活に支障をきたすことが良いとは思えませんし、絶対に長続きしません。
そこで、「気合と根性で頑張る」コマンド以外の選択肢を2つ紹介します。ひとつ目は特典(リワード)です。
コロナ禍で身体を動かす機会が減ったせいか、街中をジョギングする人が増えました。これから本格的な春を迎え、朝・夜とジョギングする人はますます増えていくでしょう。彼らの服装を観察すると、ジョギング用の本格的な格好をしている人が比較的目立ちます。下ろし立てのシューズで街中を気持ち良さそうに走る姿を見て、自分の出っ張った腹をさする日々です。
このような「形から入る人たち」は一定層います。筆者もゴルフを始めるにあたって比較的良いクラブセットを買いました。カメラも、そこそこのランクのものを買いました。お金がかかるというデメリットはありますが「さぁ、やるぞ!」と気合が入ったのを覚えています。
何か新しい物事に挑戦する際、自らにその領域の一定の報酬を与えることで、全ての環境を変えたくなる(その領域に合わせたくなる)気持ちを「ディドロ効果」と呼びます。
4月に入って心機一転するのも、形から入って世界観に没入するのも「ディドロ効果」です。引っ越しをして環境が変われば、自分まで変わったように感じるのは「ディドロ効果」のおかげかもしれません。
例えば、最初は全て理解できないとしてもコトラーの「マーケティング・マネジメント」を買ってみたり、大規模なマーケティングのカンファレンスに有償で参加したり、6月に行われる元P&Gで吉野家 常務取締役の伊東正明氏の「伊東塾」に参加したり、そうやって自らに「ディドロ効果」を仕向けることで心境の変化を促し、自ら行動するように仕向けることは比較的容易です。