マーケティングは、どこまで人間を理解できるのか #14

消費者インサイトにたどり着くには、粘り強い「人間味のある努力」がいる

前回の記事:
「独創的なアイデア」は、どこから・どう浮かんでくるのか
 

はじめに


 ありがたいことに、これまで多くのマーケターの方々とお話ししたり、仕事をご一緒したりする機会がありました。そのなかでも、顕著な成果を残されている人やプロジェクトに関わらせてもらって思うのは、アウトプットは非常にスマートでエレガントでも、そこにたどり着く過程には、往々にして非常に「粘り強い人間味」が存在するということです。

 特に今回のテーマである「消費者インサイト」を探求するようなタイプの仕事に、そのような印象を持っています。ここでは、その印象の背景を探りながら、マーケターが消費者インサイトにたどり着く過程を考察したいと思います。

 前回のコラムからの続きの意図がありますので、そちらも合わせてご参照ください。
 

気づかずに共有されている購買動機


 本稿でのインサイトは、「洞察」や「本質を見抜く力」という一般的な意味ではなく、マーケティングや広告の文脈で使われる、いわゆる「消費者インサイト」に焦点を当てます。

 ただ、マーケティングの文脈内でも、複数の意味合いが混在しているため、その前提にズレがあると混乱してしまいます。ここでは、(1) 消費者自身も気づいていない(少なくともうまく言語化できない)、しかし、(2) 多くの消費者の間にすでに共通して存在している購買動機としましょう。

 特に(2)があるからこそ、ひとたびインサイトが明らかになると「あ、そうか!」とみんなが膝を打つ、コロンブスの卵のような感覚が得られるのでしょう(購買動機に限るのかどうかは微妙なところですが、単なるニーズではないということの確認も込めて、あえて入れています)。

 このように考えると、前回考察した独創的なアイデアの特徴とも共通しています。少しおさらいすると、先月には、下の図を用いながら以下のように述べました。



 「独創的なアイデアというのは、天から降ってくるものでも地下から湧いてくるものでもなく、すでに自分の脳の中(の潜在認知のところ)にあったのでしょう。しかも、自分だけでなく、他者の多くにもそのパズルのピース自体は知らず知らずのうちに共有されているのでしょう」

 大きな違いとしては、先月の話題では自分自身の潜在意識にすでに存在していたアイデアを対象にしていたのに対し、今回の話題は、消費者の側の潜在意識であるという点です。この後、ここの部分を明確にして、議論を進めましょう。

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