マーケティングは、どこまで人間を理解できるのか #14

消費者インサイトにたどり着くには、粘り強い「人間味のある努力」がいる

 

自分の潜在意識を介して消費者の潜在意識にアプローチ


 大雑把ですが、図を少し書き直してみました。先ほど定義した通り、消費者インサイトは消費者自身の中の気づかない部分、つまり④にあって、しかも他の消費者の多くにも同じく共有されていると考えましょう。



 もっとも初歩的には、「①⇔③」のみでどうにかしようとすること、つまり③で消費者が発言したことをそのまま①でまとめて結論を下すというパターンです。しかし、これがうまくいかないことは、多くの人が認めるところです。

 そのため、「インサイト」という言葉がもてはやされ、③の背景にある④を推察しようと、あの手この手でアプローチして、①でこねくり回すわけです。多く見かけるのは、この「①⇔③⇔④」のパターンではないでしょうか。

 一方で、うまくいっている人やプロジェクトを見ていると、いったん②のところを介して、マーケター自身の「潜在意識のレベル」で、消費者の潜在意識を消化してから、①で理解しているように思うのです。

 理論的にも、そう考えるほうが自然だと考えます。なぜなら、再三再四、お話ししているとおり、①は極めて処理容量が小さく、そこで解決できる問題は非常に限られます。前回のコラムでも、そのために②を使って独創的なアイデアが浮かぶ話をしました。

 これが自分ではなく他者の潜在意識を知ることとなると、なおさら①の働きだけでは無理があるのではないでしょうか。

 とはいえ、②を使って④を知るというのは、そんなに簡単なことではないでしょう。私はこの部分に、冒頭で述べた、いい意味での泥臭い人間味を感じるのではないかと思っています。その理由の一端を次に見ていきましょう。

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