SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #29
無視できない「TikTok売れ」。その背景にある情報流通の革命とは
これまでのSNSとは違うTikTokのタイムライン
TikTokをよく見ている人はわかると思うが、TikTokの面白いところは、タイムラインを”見せられている”ところにあると思う。フォロー機能はもちろんあるけれども、基本的にTikTokを開けば、”フォロー中”ではなく、”おすすめ”のタブのタイムラインを見させられる。TikTokが過去の操作履歴を基に、レコメンドしてくれるショートムービーを見ることになるのだ。
TwitterやInstagramにおけるタイムラインは、私たちの過去の選択の蓄積によって形作られるものだ。基本的には自分がフォローしてきた人だけしかタイムラインに現れない。しかしTikTokではそのアルゴリズムによって、私たちはキュレーションされたコンテンツを見ている。
それによってTikTokで起こるのが、カテゴリーの越境だ。私はInstagramではKPOPアイドルとダイエットレシピのアカウントばかりフォローしているので、タイムラインではほぼその情報しか出てこない。しかし、TikTokでは時々、動物動画が出てきたり、ダンス動画が出てきたり、ASMR動画が出てきたりする。そしてそれが、全く関係のないカテゴリーの動画に興味を持つことにつながる。
そして、カテゴリーを越境したヒットが生まれる。小説に今まで興味がなかった人にも買われる小説が生まれる。ダイエットに興味がなかった人にも買われる飲料が生まれる。
これまで、クラスタの壁を超えるには、相当なバズを起こすか、あるいはインタレストグラフ(興味の文脈)ではなくソーシャルグラフ(友人関係のグラフ)からリーチを生み出すために友人からの投稿で商品を見かけてもらうしか方法はなかった。しかしTikTokでは、その優秀なアルゴリズムが、動画に興味の有りそうな人を見つけてクラスタを超えてリーチしてくれる。
TikTokで思いも寄らない出会いを楽しもう
ユーザーにとっても、TikTokの投稿は新しい情報だ。
今まで私たちは、フォローするほどには”興味ある”と認識しているカテゴリーの情報ばかり取得していたが、TikTokでは、興味があるとは自分でも思っていなかった動画に出会ったりする。情報収集しているカテゴリー以外で、面白いコンテンツを教えてくれる。
“インスタ映え”といえば、王道はカフェやグルメ、旅行で、人によっては縁がなかったかもしれないが、TikTokでは次に何が流行るかわからない。映画かもしれないし、不動産かもしれないし、ホテルかもしれないし、おもちゃかもしれない。ジャンルを問わず面白いものに出会えるという点が、TikTokのすごいところなのである。
TikTokは、クラスタを超えて良いものをレコメンドするパワーがある。幅広いカテゴリーを扱うプレイヤーたちも、TikTokバズを狙うべきではないだろうか。私たち消費者は、これからもTikTokで思いもよらない面白いものを求めている。
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