SNS・消費行動から見えてくる20代女子のココロ #30

BTSに沼った私が、その魅力をマーケティング視点で語ってみる

  

本人たちからの大量なメッセージが、共感を生む

  
 さらに、様々なアイドルを推してきた私が感じるBTSの大きな魅力のひとつは、その膨大な量の発信における「本人たちからのメッセージの多さ」である。

 歌って踊ってキラキラ輝く姿に元気をもらうのがアイドルヲタクの性分だが、彼ら彼女らが普段どんなことを考えているのかは、多くの場合あまり知ることができない。しかし、BTSの発信は、彼らが普段考えていることが色濃く表現されているように思う。

 それは、彼らが元々、自らの人生を語る”HIPHOP”という音楽をパフォーマンスするグループとして生まれたからかもしれないし、”メンバー全員が曲づくりに携わる”という文化を持っているグループだからかもしれない。

 最新アルバム「BE」では、彼らがコロナ禍でどんなことを考えていたか、その歌詞から観察することができるし、度々WeverseやVLIVEで、辛い胸の内が発信されているのを見ていた。また、2017年、AMA(アメリカン・ミュージック・アワード)で韓国人グループとしてはじめてパフォーマンスした時には、多くの人が華々しいと感じる姿とは裏腹に「未来が怖くて本番後にシャワーしながら泣いた」とメンバーが正直に語り、その事実をARMYの多くが知っている。

 彼らがどういうグループであろうとしているのか、現状にどんなことを思っているのか、何に悲しみを感じていて何を嬉しく思っているのか、他のグループのアイドルよりもあまりにも私たちは知っている。そしてだからこそ、他のどのグループアイドルよりも、さらにいえばあらゆるブランドよりも、深く、共感・共鳴してしまうのだ。

 そして彼らのパフォーマンスや見た目だけでなく、考え方に共感しているからこそ、さらに応援したくなる。考え方に共感している人こそARMYだと思うから、同じARMYと交流することも楽しめる。彼らの考え方に共感するひとが増えていくことを喜べる。仲間が増えていく感覚になるのだ。

 BTSとARMYは共感しあうことでつながっている。これは誰もが目指すブランドのあり方ではないだろうか。
   

  

コアにあるのは、高い実力と真っ直ぐな真心

  
 これまで、さんざんBTSの魅力を分析してきたが、BTSのリーダーRMは、自分たちの魅力を語る時「真心と実力」という言葉を度々使う。SNSでどれだけ発信しても、パフォーマンスが良くなければ、そもそも目が離せなくなるなんてことはない。真心がなければこれほどまでに彼らに愛着を持つことは出来ない。その人気のコアには、たしかに真心と実力がある。それが下地にあってこそ、様々な施策がうまくいっていることは忘れてはいけない。そして、「真心と実力」を一番大事にすることこそ、私たちがあらゆる仕事において学ぶべき姿勢ではないだろうか。

 冒頭でも言及したが、BTSは今、世の中の現象を語る上でも避けられないキーワードになっている。彼らは世界中で熱狂を生み出していて、それはアジア人の印象を大きく変えることをはじめとして、世界を大きく変えようとしている。

 さらに、ビジネスの面で言えば、HYBEという芸能事務所の プラットフォーム戦略が話題だ。HYBEは上場時から「プラットフォーム企業」を目指すことを明言しており、前述したソーシャルメディア『Weverse』やライブ配信サービス『VLIVE』を保有し、HYBE所属以外のアーティストのファンとのコミュニケーションもサポートする役割を担おうとしている。

 それは、LINEがメッセンジャーを軸に様々なサービスを展開してきたように、BTSというIPを軸にプラットフォームを展開しようとする動きだ。IPを使ったビジネス展開は古くから存在するが、それがWeb上のプラットフォームサービスと交わった時どうなるか、ビジネスの世界でもBTSの動きは見逃せない。

 彼らは、その「真心と実力」でどこまでいくのだろうか。2022年もBTSは、新たな世の中をARMYと創っていくだろう。その熱狂には、現代社会や現代に生きる人々の心を動かすヒントが詰まっている。
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