新・消費者行動研究論 #04
購入され始めると、商品の売上が下降してしまう「消費者層」が存在する【慶應義塾大学 清水聰】
なぜ、買われると売上が下降するのか
つまり、自社ブランドの購入層に占める、その2つの層の割合を眺めることで、そのブランドが下降トレンドにあるのか、それともまだ大丈夫なのかがわかり、既存ブランドの立ち位置を測定するには極めて有効であることが示された。では、なぜ、この「そら耳」層の購入割合が増えると売上が下降するのか。
彼らを入念に調査すると、彼らは消費・家庭・余暇・健康など、あらゆる情報に対して関心が希薄で、趣味やこだわりがなく、全般的に興味が薄いことがわかった。
このため、特に情報を広く求めたり、人と話したりすることが少なく、主にマスメディアからの情報に頼っていた。生活全般に対する関心が薄く、情報収集活動も盛んでないため、価格の安いものを選ぶ傾向にあり、これが結果的に安売りされている市場撤退が近い商品や、シェアを稼ぐために安売りをしている商品を選ぶことに繋がっていた。
マーケティングでは、どうしても新製品ばかりに目が行きがちだが、実際の企業の売上を支えているのはロングセラー商品や定番商品である。
今まではシェアや売上で、それら商品を評価していたが、誰が購入しているのかを見なければならないことは、この分析から明らかだ。
ブランド力をきちんと測定するには、他にも方法があるだろうが、現在のブランドの位置づけ、ブランドの健康診断のような場合には、このやり方は非常に有効と考えられる。
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