行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #23

ファミマ躍進にローソンが焦り? 周年キャラクターがそっくりな背景を分析

 

「現状維持バイアス」と「焦り」の選択


 ちなみに「意見や施策が似てしまう」こと自体は、良いも悪いもありません(もちろんアイデアを丸パクりするのは倫理的にダメですが…)。事業において、複数の選択肢がある中で、これが良いと選んだ結果が他社と似ることは、ままあります。「美味しい」も「お得」というメッセージも結果として似てしまっただけという可能性は多分にありますし、実際にはそうなのだと信じています。

 ただ、その選択が「現状維持バイアス」に陥っていないかは考えたいところです(参考:なぜ多くの実績を出してきた人が、老害とも取れる行動をしてしまうのか)。

 ファミリーマートが成功しているから、同じく失敗しない方向を選ぶ(現状維持)、というのは一見すると合理的な選択ではあります。しかし、その道は既に消費者が見飽きた道ではあります。失敗を避ける選択こそ、焦りの現れだと私は考えます。

 そもそも、結果的には賛否両論があり一部では炎上してしまいましたが、ローソンは2020年にリスクをとってプライベートブランドのパッケージデザインを大幅にリニューアルする挑戦をしました。私はスゴい意思決定を下せる会社だと考えています。大阪発の会社ということで、最も好きなコンビニでもあります。なので、「現状維持バイアスっぽい行動」が垣間見られるのは、ちょっと残念ではあります(スイーツ買って無いじゃん、というツッコミは無しで…)。



 ある人が、コンビニ3社の特徴をクラスの男子学生に例えていました。セブンイレブンは優等生、ファミリーマートは人気者、ローソンはオタク、だそうです。なるほど確かに、健康やカフェ、スイーツ、からあげ君と特定領域を突き詰めている印象はあります。加えて、想起されるカテゴリー・エントリー・ポイントは大きい。

 さらに、ローソンは従前からデジタルに力を入れており、例えばTwitterのフォロワー数はセブンイレブン470万、ファミリマート450万に対して、710万です。ただ、私はそこそこのツイ廃ですが、最近Twitterのタイムラインで話題に上がるのはファミリーマートの施策のほうが多かったような気もしています。

「オタク」としての資産がたくさんあるのに、なぜ…と思わずにはいられません。もちろん、私のような在野の凡夫に言われなくても分かっとるわ、という話なのだと捉えています。だからこそ余計に「どうしたぁ~?」と驚いた次第です。

 とりあえず、この原稿を書き終えると、ローソンのことが改めて好きになったので、久しぶりに「プレミアムロールケーキ」を買ってこようと思います。
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