トップマーケターたちに聞く価値共創時代のマーケティング #02

ファミマ足立氏でも勝率は3割、大事なのは挑戦して経験値を蓄積すること【価値共創時代のマーケティング】

 

当たった施策を横展開し、少しずつ勝率を上げていく


 中村 対談のまとめとして、前編 を含め今回の後編を読んだ人たちが明日から何をやればいいのか、アドバイスをお願いします。

 足立 まずは、自分自身でソーシャルメディアを使ってください。「PRの専門家です」と言いながら、自分のTwitterアカウントを持っていない人を私はまったく信頼しません。自分で試してみないと、ソーシャルメディアの中で何が響いて、何が響かないのか、という肌感覚はほとんど掴めないと思います。

「共創」という視点では、自分たちで商品やサービスを広告宣伝するだけでは信頼は得られません。そのため、ソーシャルメディアなどの親しみのある人たち、権威や信頼性のあるメディア、コラボ先など、ここでも「誰」と一緒に取り組んだらいいかを考え続けてほしいと思います。まず、何がどのように伝わってほしいかを考え、その後、誰と組むのかを決めるという順番が正しいですね。

中村 しかし、何がどのように伝わってほしいか、誰と組むのかを決めるという場合でも、お客さま視点がなければ難しいですよね。
  
Facebook Japan マーケティングサイエンス統括 執行役員
中村 淳一 氏

足立 はい、そうなんです。自分でソーシャルメディアを使うというのは、まさにそういう話なんですよ。日々の生活の中で、さまざまなコミュニケーションや広告を見ていると、これは響くよねと感じるポイントが必ずあると思います。その理由をきちんと因数分解して自分のプランに落とし込むことによって、それができるようになっていきます。これはまさに、「消費者としての自分を忘れない」ということですね。

中村 それは面白いですね。足立さんは普段からそうされているから、頭の中にたくさんの引き出しがあるのでしょうか。

足立 私は、普段から多くの引き出しがあるわけではありません。常に意識してアンテナを張っているので、ああこれ響いているな、これ面白いなと思ったら、それを自分のビジネスに活かすようにしているだけなんです。そのため、私の周りの人にも、最近どんなものを見ましたか、買いましたかと聞いて回っていますよ。

最終的には、フィジビリティ(実現可能性)とサイズ・オブ・プライズ(アクションに対する見返り)です。結局は、うまくいくかもしれないと思ってもできない、あるいは今はできないこともあるかもしれません。それは誰も分からないので、あれこれテストしてしまえばいいと思います。それで本当にできるようになれば、小さい規模から拡大して取り組めばいいというだけの話です。一撃必殺なんて、到底無理ですからね(笑)。

中村 一撃必殺ばかりされている印象の足立さんでも無理なんですか。実際に、勝率はどれくらいのイメージですか。

足立 昨年だと2~3割くらいだと思います。

中村 その勝率はだんだんと上がっていくんですか。
  
対談中の足立氏(左)と中村氏(右)

足立 はい、上がっていきますね。1年目に当たった施策を、2年目にやり方を改善しながら横展開していくことで、勝率は必ず上がっていきます。そうすることで、さまざまな商品が安定するので、全体の勝率も少しずつ上げられます。ただ、それだけでは同じ施策ばかりになってしまうので、新しいこともきちんと実験しながら取り組んでいきます。これを繰り返すことによって、PDCAが早く回るんです。

ソーシャルメディアが中心の共創時代は、やってみなければお客さまの反応が分からない代わりに、PDCAも早く回ります。そのため、挑戦してはどんどんと改善し、自ら経験値を溜めていくことが重要です。

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