トップマーケターたちに聞く価値共創時代のマーケティング #02

ファミマ足立氏でも勝率は3割、大事なのは挑戦して経験値を蓄積すること【価値共創時代のマーケティング】

 

インフルエンサーに報酬を払わない本当の理由


中村 足立さんの話を聞いていると、「インフルエンサー」という単語をあまり聞かないなと感じたのですが。

足立 いわゆる「インフルエンサー」の方を大々的にマーケティングに使わないからですかね。弊社がやっていることのひとつは間違いなく「インフルエンサー・マーケティング」なんですが、基本的にインフルエンサーの方に報酬は払わないという方針なんです。新商品の試食会に来ていただく時も、交通費は出しますが、基本情報のみを御提供をする、というやり方をしています。

中村 インフルエンサーに報酬を払わない理由はあるのでしょうか。

足立 それには、3つほど理由があります。ひとつ目は、インフルエンサーの方は無数にいらっしゃるうえ、商品やサービスによって適している人がまったく異なるので、常に最適な人を選ぶことが難しいためです。

2つ目は、報酬を払う人と払わない人の線引きが難しいからです。実際に、インフルエンサーを起用したキャンペーンや施策を実施する前から、各インフルエンサーの効果や影響を比べることはできませんからね。

3つ目は、再現性が低いからです。同じ人に、同じようなキャンペーンについて、同じようなことを発信してもらっても、たとえば投稿するタイミングによっては、まったく視聴者の方に見て頂けないこともあり、さまざまな要因によって全然異なる結果になります。特に、YouTubeやTikTokなどの動画系は、非常に高い効果が得られることもありますが、再現性が低いと思っています。我々は広告にかける予算が少ないので、予算の9割は再現性があるところに使いたいんです。

中村 高い効果があるかもしれない反面、インフルエンサー・マーケテイングには賭けみたいな側面もあるということですね。もうひとつ、足立さんは「フェアネス」を非常に大事にされていますね。

足立 はい、「フェアネス」はとても大事だと思います。

中村 最後に、お客さまの話も、インフルエンサーの話もそうですが、公平性を大事にされていると感じましたが、その理由は何かありますか。

足立
 我々はお客さまも関係者も多く、比較的に影響力が強いビジネスなので、なにをするにも明確なルールがなければいけないし、誰に対しても公正・公明でないといけないんですよ。

中村 なるほど。今回は、普段足立さんからはなかなか聞けない観点での貴重なお話が多かったです。本日は、ありがとうございました。
    
対談後の足立氏(左)と中村氏(右)
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