新・消費者行動研究論 #05
情報感度の高い高齢者ほど、肉体的・精神的な衰えを50代から認識【慶應義塾大学 清水聰】
2018/09/18
インテリアや食生活でも違いが発生
さらに、インテリアや内装などに対する興味も情報感度の高い人はあるため、住宅の住み替え、リフォームは、副産物としての消費も増やす。ここはマーケットとして大きい。住宅だけではなく、普段の食生活でも違いが出る。情報感度の高い高齢者は、早い段階から健康食品の購入が多く、育児系の商品も50代から増えてくる。孫のために積極的に消費をしている。
また、おしゃれのひとつのバロメーターであるメイクアップ化粧品も、40代、50代を通じて伸び、60代前半までその流れは続く。身ぎれいにすることにお金を使う傾向が強い。
日頃の人間関係でも、情報感度の高い人は友だちの数が多く、特に異性の友だちもいるのが情報感度の低い人との一番の差である。友だちが多いため、出歩くことが多く、これが先に挙げた身ぎれいにすることにお金を使うことにも関係するし、またリアルなネットワークが豊かな知識を与えていると考えられる。
先進国で65歳以上の高齢者の割合を調べると、日本はダントツで高く、次に日本と同程度の人口構成費になるのはイタリアで、それでもあと10年ぐらいかかる。
その意味では、高齢者に関するマーケティングの研究は、他の国が真似したくてもデータ収集が難しく、日本が他の先進国に先んじて研究できる領域だ。
日本から先に問題提起するマーケティングがあってもいいのではないか。そのように高齢者研究をすると思う。
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