いまの学生が考えるマーケティングとは?
マーケティングは、今でも人気の学問領域なのか?【大学生×ピップグループCMO久保田氏 座談会】
近年、ビジネス環境が複雑化する中で、マーケティングの重要性が高まっている。一方で昨今、大学においては、他の学問領域に比べてマーケティングの人気が低下しているという話も聞く。そこで、その実態を知るために、大学で教鞭をとりながら実務家としても活躍するフジモトHD 執行役員CMO 兼 ピップ 取締役 商品開発事業本部長の久保田達之助氏にナビゲーターを務めてもらい、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学でマーケティングを学ぶ学生の座談会を開催した。座談会では、マーケティングに興味を持ったきっかけやマーケテイングの面白いと思った部分、いまの就職活動や学生が知っている有名マーケターなどについて聞いた。
今の学生がマーケティングに興味を持つきっかけ
―― 本日の座談会には、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学から1名ずつ参加しています。まずは、久保田さんから、どのような経緯で3つの大学の学生が集まっているのか教えてください。
久保田 私は、明治大学で兼任講師としてマーケティングを学生に教えています。事の発端は、2011年にある2人の学生が長らく休会していた明治大学のマーケティング研究会の活動を再開させたことです。そのとき、部長を務める先生から「マーケティングに対して、こんなにも意欲のある学生が明治にはいるんです」と話を聞いて、特別顧問として研究会を一緒に運営していくことになりました。
一方で当時から、早稲田大学と慶應義塾大学はマーケティングの勉強会を年に数回開催していました。そこで、早稲田の幹事長を務めている私の知り合いに頼んで、明治も参加させてもらい3つの大学が集まった勉強会が始まったんです。
その後、3大学の学生がマーケティングの学びをもっと深めて社会に通用する人材になるために「COMPASS(コンパス)」というビジネスコンテストを開催することになり、その顧問も引き受けました。昔からさまざまなビジネスコンテストがありますが、企業が営利目的で開催しているものが多いです。「COMPASS」はそうではない純粋な学生の発表の場として運営され、2023年で11回目を迎えます。今回は、そのマーケティング勉強会やCOMPASSに参加する学生に来てもらいました。
久保田 達之助 氏
―― では、学生の3人から自己紹介と、マーケティングを勉強しようと思ったきっかけを教えてください。
齋藤 早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科2年の齋藤仁輝です。私は理系の学部に通っていますが、大学では高校にない学問を学びたいという思いがあり、マーケティングを学んでいます。また、もともと経済学や心理学に興味を持っていました。
人が社会の中で生活していくときに絶対に関わらなければいけないことがマーケティングだと考えています。その根本を学びたいと思い、このサークルに入りました。
齋藤 仁輝 氏
水谷 慶應義塾大学 法学部 法律学科2年の水谷萌里です。実は、私は法曹界に入りたくて法学部を選んだわけではなく、単に「文系と言えば法学部だろう」「法学部って何だかかっこいい」というイメージで選んだというのが正直なところです。
その中で、自分の将来の目標が弁護士や裁判官になることではないと気づき理想の将来を考えたところ、小説や映画の中で仕事ができる優秀な女性に憧れていたことを思い出しました。当時、目標が定まっていなかったためどんな企業でも活躍できるような人材になりたいと考え、社会に出て汎用性があるマーケティングに興味を持ちました。
水谷 萌里 氏
布野 明治大学 経営学部 経営学科2年の布野真鈴です。私は父親が広告の仕事をしています。小さい頃から父がつくったパンフレットなどを見て、こういう仕事があるんだと思っていました。ただ当時は、広告と関連した「マーケティング」という仕事があることを知りませんでした。
高校生のときに「将来何がしたいのか」と考えて、そういえば父がやっていた広告の仕事があるなと思ったんです。それから普段生活していると、街なかには看板や街頭の広告が溢れ、電車の中にはたくさんの広告が吊られ、テレビでもさまざまなCMが流れていることに気づくようになりました。
その中には、人に感動を与えたり、ストーリー仕立てで商品を身近に感じさせたりする広告もあり、マーケティングは単に情報を伝えるだけではなく、プラスの感情も生み出す仕事なのだと気づき興味を持ちました。
布野 真鈴 氏