いまの学生が考えるマーケティングとは?

マーケティングは、今でも人気の学問領域なのか?【大学生×ピップグループCMO久保田氏 座談会】

 

マーケティングに興味を持つ学生は増えている?


対談中の(左から)久保田氏、布野氏、水谷氏、齋藤氏

―― 皆さんの大学の中でも、マーケティングは人気なのでしょうか。

布野 すごく人気だと感じています。私が在籍する明治大学の経営学部では、2年生の秋からゼミが始まるのですが、グローバルマーケティングのゼミが最も人気で倍率が高かったです。また、他に人気があったゼミもマーケティングや消費者行動に関係するゼミでした。経営学部だからかもしれませんが、人の心理に関わるテーマは学生の中でも非常に人気があるという印象です。

齋藤 私が通う早稲田では、キャンパスが理系学部と文系学部で分かれているので、私が所属する理系に関して言えば、人気かどうかは疑問です。それよりも建築や数式といったひとつの領域を極めたい人が多いような気がします。

水谷 法学部も同じですね。私は慶應義塾大学の法学部ですが、クラス内で約4割の学生が法曹界を目指しているので、私がマーケティングを勉強していることを伝えると「マーケティング? 何だか賢そうなことをやっているね」といった反応です。突出して人気があるかと言えば、そうではないと思います。

―― マーケティング以外では、どういった学問や分野が人気だと感じていますか。

齋藤 早稲田では、情報系やプログラミングが非常に人気ですね。

水谷 法学部でも同じですね。IT分野の市場がどんどんと大きくなっていることもあり、情報系が人気です。私もマーケティングを選んでいなかったら、プログラミングを勉強していたと思います。

―― 久保田さんの感触では、マーケティングを学ぼうとする学生は増えていますか。

久保田 私は明治大学でマーケティングを教えているのですが、実は受講の競争率が非常に高く、マーケティングを学びたい学生は多いと思います。受講生に「なぜこの授業を取ったのか?」と聞くと、先ほど布野さんが言ったように「消費者行動などの心理学的な内容が面白そうだと思った」という回答がよく見られるんです。また、大学の授業の中では数少ないグループワークを行う授業だということも人気の要因のひとつのようです。
  
マーケティングを学ぶ学生について語る久保田氏

また、私の授業を受けた学生にマーケティングを学んでみてどうだったかを聞くと、「もっと数学的で論理的な頭のよい人しかできないものだと思っていたけど、実はすごく身近な学問だと分かった」という答えが返ってきました。大学では統計学などを使って、マーケティングの理論を突き詰める授業も多いです。私は現役のビジネスパーソンとしてマーケティングを実践しているので、現場ではそうした理論通りにはうまくいかないケースもあることを伝えています。

マーケティングをまったく知らない学生は、前者の統計学的なイメージが先行してしまい、実態とギャップが生まれていると感じます。その誤解がなくなれば、マーケティングを学ぶ学生はもっと増えるのではないでしょうか。
 

学生が感じるマーケティングの面白さ


―― 学生の3人に聞きたいのですが、マーケティングを勉強していく中で、面白いと思った部分はどこですか。

齋藤 マーケティングでは、言葉の伝え方を変えるだけで、マジックみたいに商品が売れたり、人に幸せを届けたりできることがすごく面白いと思います。それと、マーケティングを勉強する中で論理的に物事を考えられるようになったところも良かったですね。

水谷 私は、商品やサービスを企画する「最初の段階」から消費者に届く「最後の段階」まで、すべての工程に関わることができるのがマーケティングだと思っていて、そこが魅力的だと思っています。実際、マーケティングの現場では、失敗が主となるのは重々承知していますが、自分が企画したものが形となり、世の中の多くの人の手に渡ることは上手くいくひとつの方法を発見する感覚があり、面白いだろうと思います。

布野 私は、マーケティング研究会に入ってからさまざまな企業と関わる機会ができました。そこで企業の商品やサービスのターゲット層が異なれば、プロモーションの仕方も刺さる広告も違うということをしみじみと感じました。

その中でターゲットの興味や関心事を汲みとりながら、相手の共感を得る広告を打っていくということがマーケティングの面白さのひとつなのかなと思うようになりました。

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