いまの学生が考えるマーケティングとは?

マーケティングは、今でも人気の学問領域なのか?【大学生×ピップグループCMO久保田氏 座談会】

 

幅広い経験をしてから、マーケティングに関わりたい


――企業の採用活動について、何か思うところはありますか。たとえば総合職の採用なら、マーケティングの仕事がしたくても、1年目から希望の職種に就ける人はごく一部ですよね。

齋藤 私がやりたいと思っているブランディングの例でいうと、私は始めのうちは現場で商品を売る活動を担当するだけでもいいと思っています。そこから少しずつ経験を重ねて、全体を統括できるようになれればいいなと思っています。最初は組織の手足として関わり、少しずつ全体を掴んでいきながら一つひとつステップアップしていくイメージですね。

今はインターンでWebマーケティングに携わっています。そこはSNSを管理するシステムを売っている会社で、私はそのシステムの認知や利用促進につなげる情報をまとめて発信する役割を担っています。現在は手足として動いていますが、現場の苦労が分からなければ、ブランドを統括することはできないと思います。
  
将来像について語る齋藤氏

水谷 私は、現時点の目標であるマーケターの軸から外れていないのであれば、マーケティングに関係のない仕事でもよいと考えています。さまざまな経験をすることで知識が広がりますし軸から外れていなければ、着実に目標に近づくと思うからです。

布野 先日、マーケティング研究会の部長を務める先生と話していて印象的だったのが「マーケターはオーケストラでたとえると指揮者だ」という話です。オーケストラにはいろいろな楽器を演奏する人がいて、それを指揮者がひとつの楽曲としてまとめるように、マーケターもいろいろな部署をひとつの方向性にまとめ上げることが役割だとおっしゃっていました。

私も最終的にはマーケターになりたいと思っているのですが、さまざまな経験をして視野を広げたうえで、豊かな視点を持った指揮者になりたいと考えています。
  
指揮者のようなマーケターになりたいと語る布野氏

久保田 すばらしいですね。私も学生の皆さんと考えが似ていて、やはり最初は現場を知る必要があると思います。幅広い業務を経験させるというのは、日系企業の考え方ですね。マーケティングは「4P(Product・Price・Place・Promotion)」の要素があるので、たとえばメーカーであれば、最初は営業で小売・流通(Place)に関わり、次に別の4Pのどこかを経験するという流れがいいのではないかと思います。そうでなければ、机上の空論を語り始めてしまい、誰も付いて来ないということになりかねません。

結局のところ、マーケターはひとりでは何もできないので、コミュニケーションがとても重要になります。そのときに、いろいろな部署を経験していると知見だけでなく人脈も広がるので仕事がしやすくなりますよね。

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