鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #02

「魂にしか興味がない」若手なのに大御所と次から次へと仕事ができる秘訣を鹿毛康司氏が学ぶ

 

「魂」に引っかかるものを提案する


鹿毛 超有名俳優さんとも出会ったときも、GIVEしていたましたね。

中山 はい、私はグロービス経営大学院のPRを務めながら、グロービスでMBAの勉強もしています。そこでの研究内容が彼の役に立つだろうなと思って話をしました。その結果、本人から「すごく勉強になりました」と言っていただきました。

鹿毛 どうしてそんなやり取りができるのでしょうか。有名すぎて会うのに恐怖はないのですか。
  

中山 私は“有名だとか偉い人”という感覚があまりよく分からないのですが(笑)。世の中的に大御所と呼ばれる方は、時間への意識が異常にシビアで、時間単価も高い。そんな方にお会いするとき、その人に関連するコンテンツを見尽くして、その人がどのようなことに興味があり、何を考えているのかを大量にインプットしています。メディアに出ている情報の奥にあるその人の背景や思想に、少しでも引っかかることを提案できるよう意識しています。

鹿毛 大御所であればあるほど、世の中に情報が出ていますもんね。でも、調べようと思っても情報がないときもありますよね。その場合、どんなことに気を付けていますか。

中山 私は、その人の社会的地位や資産などはまったく気にしていません。その人の外側に付随しているものではなく、人の「魂」のようなものにしか興味がないんです。だから、最近はさまざまな宗教や神話にも興味をもって勉強しています。そもそも大学生の頃に、良い教育を広めようと思ったときに、宗教や神話はマーケティングの元祖だと考えて、そこから独学や先生について学んできました。

鹿毛 入信しているとかではなく、宗教について勉強しているんですよね。築地本願寺の改革を行い、書籍も出版され現在は京都 西本願寺に務められている安永雄玄先生(浄土真宗本願寺派 本山 本願寺 執行長/代表役員)とも懇意にされていますよね。この前、中山さんの音頭で京都の西本願寺でセミナーを開きましたよね。

中山 はい、そうなんです。鹿毛さんの、とある授業で安永先生のインタビューが登場しますよね。「インサイトは煩悩」と断言する安永先生を見て、これをやりたかった!とすぐに打診しました。京都の西本願寺は、浄土真宗本願寺派の本山で、信仰の中心です。そこで、ごく一部の人を集めて「マーケティングと煩悩の狭間 現代に生きる宗教と経営」というテーマでセミナーを開催しました。

鹿毛 宗教に興味を持って仏教に考えが及んだとしても、普通はいきなり天下の西本願寺にはいかないと思うんですよ。ちなみに、そのセミナーには、私もパネリストで参加させてもらいました。もう一人、農業ビジネスに構造変革を起こし、1粒1000円のミガキイチゴを生み出す岩佐大輝(株式会社GRA代表取締役CEO)さんもお呼びして。

中山 岩佐さんは、東日本大震災で非常に大きな被害を受けた地域の出身です。その地域では苺の栽培が盛んでしたが、震災で苺農家の95%もが津波でながされてしまったんです。そこで、ITと農業を掛け合わせたアグリテック企業を立ち上げ、1粒1000円の値段がつくほどのブランド苺を生み出しました。このお三方に何か共通するものを感じたのです。
  

鹿毛 岩佐さんとは、どこで知り合ったんですか。

中山 グロービス経営大学院のカンファレンスでお会いしました。

鹿毛 最初は、いちスタッフとして出会ったんですね。読者の中には、中山さんがそういう場で大御所と出会う機会があるからアプローチできるんだと思う人もいるかもしれません。ただ、他にもスタッフはたくさんいたわけで、そこにいた全員に平等にチャンスがあったにもかかわらず、中山さんだけがコトを起こすわけですよ。みんな本当はどこかで大御所と出会っているはずなのに、行動に移していないだけなのです。

中山 グロービスの研究プロジェクトで、「仏教や禅の思想である“コンパッション”が経営にどう有用なのか」というテーマを扱っていて、その話をたまたま岩佐さんにしたんです。そしたら、岩佐さんも禅を数十年探究・実践してきている経営者の一人で、話が盛り上がって。また、鹿毛さんとは同じ東日本大震災を機に、世の中の空気を変えて希望をもたらしたという共通項に何かあるのではないか?聞いてみたいと思ってオファーしました。

鹿毛 とっても意義深い会になったと思います。

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