調査レポートSponsored

生々しい事例から考える、BtoBマーケティング推進における難題「部門間連携」への向き合い方

 

事例3:旅行関連会社/Webサイト運営担当Cさんの場合

・Webサイト運営部門の役割は、公式サイトにおいて、航空チケットや旅行ツアーを販売すること。
・手段として、Webサイト管理、販促、広告、CRMなどを行っている。
・サイト改修などにおいて実働する技術開発は、担当部門が分かれている。

 この事例は、部門間の壁を越えるために理想とすべき「完璧な例」と「通訳の有効性」の2つを教えてくれます。

 Cさんは、まず部門間(≒各スペシャリスト間)の連携が完璧に機能している例として、旅程を安全に終えるまでのプロセスを挙げています。移動手段の設計から各地の連携まで、「旅程を安全に終える」という共通の目的に対するマインドが高く、それがマニュアル化されています。

 それは考えてみれば当たり前かもしれませんが、医療や食品なども同じく、人の生命や健康に直接的に関わるほど、安心・安全を約束することにコミットすることになります。「部門間のKPIの違いで連携がうまくいかず、結果的にお客さまの安全を守れませんでした」というようなことは絶対にあってはなりません。

 一方、お客さまと直接コミュニケーションをとる現場から少し離れた部門は、連携が完璧とは言えないようです。

 Cさんの所属する企画部門と連携するIT開発部門では、互いの専門性の理解不足によって議論が噛み合わないことがあるそうです。その要因として、異動により、専門性が低い人員が部署に多くなることが挙げられます。

 その中でも上手くいっているのは、たまたま両部門を経験したことがある人が、ある種“通訳”として部門間に入り、連携をスムーズにするケースです。会社としてのローテーションの意図はさまざまですが、部門間連携の悪化要因にも良化要因にもなる点は興味深いです。
 

事例4:教育系スタートアップ/取締役Dさんの場合

・学生向けオンライン教育サービスを提供。
・エンジニア文化の強いスタートアップ。

 この事例は、会社の中でエンジニアの地位が高いことで、営業との連携が上手くいかない典型例です。ビジネスに関心をもたないエンジニア側のマインドに問題があるとDさんは指摘します。

 経営陣としては売上をもっと上げていく必要があると考えていますが、エンジニアは売上より、「いいサービスをつくりたい」という意識が強く、折り合わないのだそうです。

 エンジニア側としては、マーケティングや営業をしなくてもいいサービスをつくっていれば口コミだけで売れていくと考えており、これは本質的には正しい考え方です。ただ、営業側としては、短期の売上目標を達成するための施策にもリソースを割いてほしいという考えがあります。

 この問題を解決するために、売上への意識を高めさせるためにエンジニアを含む従業員に会社の株を提供する試みをしましたが、まったく効果はなかったとのことです。従業員に株を渡す施策の難しさは、コミュニティに参加していた他の数社でも同じようでした。結局は、ビジネスに対してバランス感覚のよいマインドの従業員を採用し、社内のメンバーを通して血を入れ替えていくしかないという結論に達しています。
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