最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #01
見逃せないチャンス、市場規模1兆円まで広がると予測「VTuberビジネス」の衝撃的な実態
2030年頃までには1兆円規模。VTuber市場の拡大は止まらない
VTuberが伸びている理由を、具体的な数字で説明します。VTuberの国内の市場規模は、2022年に520億円だったところから、2023年には800億円程度まで成長するという見立てをしています(※矢野経済研究所調べ)。同業他社1社と我々の2社が急成長し、国内市場を大きく拡大してきた状況です。海外も含めれば、2030年頃までには約1兆円の市場規模となる予測も出ています(※グローバルインフォメーション調べ)。
カバーの売上や利益からもVTuber市場全体として伸びていることが読み取れる(カバー 2024年3月期 第2四半期決算説明資料)
「なぜVTuberの市場がこれほどまでに急速に拡大しているのか?」と、疑問に思う人も多いかもしれません。その理由は様々ですが、ひとつの要因として挙げられるのがYouTubeの視聴者数の増加です。かつては、家庭内において家族が一緒に1台のテレビを見るのが一般的でしたが、現在では個人がスマートフォンを持ちオンライン上にさまざまな動画サービスが生まれ、自分の部屋でそれぞれ好きな動画を視聴する習慣が定着しています。このような変化の中で、特に若年層からYouTubeで気軽に楽しめるコンテンツとしてVTuberの配信や動画が支持されています。
コロナ禍において、視聴者は自宅で長時間YouTubeを観る、あるいはリモートワーク中にラジオ代わりに配信や動画を流すなどの場面が多かったと思います。そしてコロナが落ち着いてくると、視聴習慣も変化してきました。VTuberの配信プラットフォームはYouTube ShortsやTikTokなどの短尺動画が広がり、移動中や隙間時間に動画を見やすい環境が整ったということも追い風になっています。
それに加えて海外においては、依然として日本のアニメの人気が高いという背景があります。アニメと同じような映像のコンテンツとして、海外からもVTuberのニーズが高いのです。また、日本のゲームを強く意識して作られた「原神」のようなRPGのオンラインゲームが世界中で受け入れられる土壌が組成されたことも大きな要因と考えられます。
そうした中で、VTuberはさまざまな配信プラットフォームを活用して、ライブやショート動画を投稿しています。VTuberの活動をビジネスの視点でスケールさせていくには、戦略的な運用が必要です。特に我々は、タレントに自走してもらうことに重きを置いています。日々のライブ配信などの活動は、タレント自身の自宅で行ってもらいながら、配信に必要な機材やシステムを我々から提供しています。このような仕組みをつくったことも市場として、VTuber が伸びている大きな要因だと考えています。