バレンタイン特別対談 #02
同業他社をどう見る? ブラックサンダーとメリー 人材育成からサステナブルまで互いのスタンスを深掘り【バレンタイン特別対談】
まだまだ続く、同業分析
――バレンタインフェアなど、競合他社の商品は、どうチェックしていますか?
高田 量販店、総合スーパー、そして百貨店。都内だけでも相当な情報収集ができますが、やはり日本最大級のジェイアール名古屋タカシマヤ、大阪なら梅田の阪急百貨店などは、可能であれば行くようにしています。20代、30代の女性でいっぱいの会場に、私のような男性がいたら、それはたいてい業界の人ですね。
河合 最初にお話ししたように、我々はバレンタインをそこまで「大きな山」と見ておらず、百貨店のフェアにも基本的に出店していません。ただ、バレンタインはやはりチョコレートに注目が集まる時期なので、話題が拡散しやすい。涼しくなってチョコが食べたくなる秋口と並んで、大きなプロモーション活動を行う時期と捉えています。
その上で、私もジェイアール名古屋タカシマヤなどのバレンタイン売り場は、可能な限り覗きに行きます。会場にいらっしゃるお客さまは、我々のお客さまとほぼ一緒で、求めているチョコが「ハレかケか」くらいの違いです。そのお客さまたちが何を求めているか、どういうところに集まっているか。チョコレートの技術は、これからも革新的な組み合わせなどイノベーションはもちろん起こるとは思いますが、純粋な技術の成長という意味では限界があると思っています。そんな中で他社はどう頑張っているんだろうという目線で見ると、新しい工夫をしているショコラティエや、心に響く売り方と出会えて、すごく勉強になります。
高田 河合社長にお会いしたらぜひお聞きしたいと思っていたのですが、なぜ2023年のバレンタインデーは「カニ」だったんですか。(編集部注※有楽製菓は2023年のバレンタインで「B級バレンタイン未来博」というイベントを開催。カニを使ったお菓子「クラッブサンダー」を中核に据えた)
河合 「ブラックサンダー」の「ブラック」を逆から読んだ「クラッブ」です。あとは「LOVE&PEACE」(手をピースサインにして)という…。完全にダジャレです。
――河合さんのアイデアでしょうか。
河合 さすがに違います(笑)。「バレンタインを自由に楽しむ」というコンセプトで、企画会社含め、いろいろなアイデアが出ていたのですが、すべて検討して絞り出し、私がOKしたのがカニでした。「自由なのだから、別にチョコじゃなくてもいいよね」という「逆張り」の提案だったんですが、張り過ぎました。ただ、一度振り切ったからこそ分かったことがあったので、それはそれで良かったと思っています。
高田 いや、すごいです。実はブラックサンダーのファンサイトのコラムも、ものすごく面白く読ませてもらいました。特に、贈る相手によってどの種類のブラックサンダーを選ぶかという記事を読んだのですが、世界観と文体が天才的でした。面白いだけでなく、強引なんですがちゃんと理にかなっていて、こういうアプローチの仕方で商品をPRするというのはすごく参考になりました。
河合 ありがとうございます。ブラックサンダーのサイトや関連するSNSの運用は、商品企画やマーケティングとは別の担当者が行なっているのですが、世界観を共有して、チームとして連動してやっている感じです。
SNS上などでのお客さまの声は、もちろん参考にさせていただくことはありますが、ダイレクトに意見を取り入れるというより、背景にある考え方を読み取ることを重視しています。そして、いただいた意見に対してどうお返しするのが、より価値のあるレスポンスになるのかということは常に考えていますね。