鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #04

「マーケターよ、一度でいいから作詞しろ」 無印良品で本当の共創に挑む若き天才

 

自分自身がクリエイターだから、インフルエンサーの気持ちが分かる


鹿毛 篠原さんは、なぜそういう考え方をするようになったんですか。

篠原 私自身が自己発信をする側の人間なので、アンバサダーさんの気持ちが少し分かるからでしょうか。

鹿毛 篠原さんはシンガーとして全国を回ってライブをしているんですよね。

篠原 はい、仕事とは別にバンドのボーカルとしても活動しています。
 
THE LOCAL PINTS / Pale Summer (Official Music Video)
 
THE LOCAL PINTS / Hoppin' On (Official Music Video)

鹿毛 曲も良いし、歌もめっちゃ上手いですよ。オリジナルですよね。

篠原 はい、オリジナルです。先ほどもお伝えしたように自分自身がクリエイターなので、インフルエンサーさんたちの気持ちが少し分かるのかなと思います。企業から変に扱われたり、自分の気持ちを無視して指示されたりすると、搾取されたと感じてしまいます。
  

鹿毛 私も曲作ったりしているから、何となく共鳴してしまいますがオリジナルを生み出すという時は、自分のすべて、例えば魂までも削っている感じですよ。それを他人に、無防備に消費されるのはすごく嫌ですよね。

篠原 はい、すごく嫌ですね。

鹿毛 だから、無印良品で一生懸命に商品をつくっている人の気持ちも分かるし、ファンと一緒につくることを通して、それを使っている人の気持ちも分かるんですね。これが篠原さんの持つ根本的な価値だと思います。

マーケティングの仕事をしている人の中には、生身のお客さまが忘れられていて、何だかかっこよい消費者の括りをして満足している人もいます。ところが篠原さんはリアルの場でライブ活動をしているからだと思うけれど、目の前にいるお客さんの顔がとても見えている。「何歳でどこに住んでいる人で、年収はどれくらいで、性格や生活がコレコレで」って生なましくお話されます。

篠原 そうですね。音楽家としての経験は、いまの仕事にも確実につながっていると思います。社内では「憑依する」という言葉をよく使っているのですが、自分自身がペルソナになりきって考えるということに常に取り組んでいます。

そもそもボーカルとして歌詞や曲を書くときに、いつもそれを実践しているんですよね。そのために、身近にペルソナに近い存在がいればその人に話を聞き、いなければSNSで近い人を見つけ、その人の投稿を追いかけて、どのようなことを考えているのかを追求しています。
  
  
良品計画の全社集会の後の懇親会にて、THE LOCAL PINTSのボーカルとしてゲストで呼んでもらえたときの様子

鹿毛 マーケターには、一度でいいからお客さまになりきって作詞をしてほしいと言いたい(笑)。

篠原 お客さまになったつもりで日記が書けるようになったら、「憑依した」と言えると思いますね。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録